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データ分析基盤とは、データの「収集」「蓄積」「加工」「分析」というデータ分析の一連の流れを行うための基盤(仕組み)のこと。
企業におけるデータ活用の重要性が高まるにつれ、データをスピーディかつ効率的に利活用するための仕組みが求められています。
ビジネス活動で生成され、蓄積されるデータは膨大かつ多様です。これらをMicrosoft Excelなどのオフィスソフトで分析することには限界があります。そこでデータ分析基盤を構築することにより、これまで扱えなかったビッグデータの分析が効率的に行えるようになります。
また、近年はAIやIoTなどを用いて、新たなビジネス価値を創出するDX推進が大きなテーマとなっており、その意味でもデータ分析基盤の重要性は高まっています。
データ分析基盤の役割には、大きく「収集・蓄積」「加工」「分析・可視化」の3つの役割があります。
社内の様々なシステムに散在しているデータを集約し、データ分析基盤に蓄積します。各業務システムやWebサイト、IoTデバイスなど、さまざまなデータソースからデータを収集するために、データソースとデータ分析基盤を連携させる必要があります。
そして、後述するとおり、データを蓄積する場所を、「データレイク」と呼びます。
データレイクについては、こちらで詳しく説明しています。
データレイクに蓄積したデータを、分析しやすいように加工します。たとえば、フォーマットを揃えたり、不正確なデータを削除したりするクレンジングなどを行います。そして、後述するとおり、データレイクから、分析しやすい状態に加工されて保管するのが「データウェアハウス」(DWH)です。
DWHについては、こちらで詳しく説明しています。
DWHに保管されたデータを分析します。また、分析の目的に応じて、データをダッシュボードなどに表示し、わかりやすく可視化することもあります。なお、後述するとおり、DWHに保管されたデータを、用途別に抽出・分類して保管する場所を「データマート」と呼び、分析・可視化ツールには「BIツール」などがあります。
データマートとBIについては、こちらで詳しく説明しています。
データ分析基盤が必要とされる理由として、「形式の異なるデータの統合が難しい」(データの一元管理)、「データ量が増えるほど処理に時間がかかる」(スピーディーなビッグデータ分析)、「作業が属人化してしまう」(データ活用環境の整備)といった課題が挙げられます。
データ管理の課題には、「必要なデータの所在が分からない」「どれが最新のデータか分からない」「形式が異なるデータの統合に手間がかかる」といった課題があります。社内外のシステムにバラバラに散在していたデータが統合され、連携することで、多面的な分析が可能になり、効率的に質の高い分析が可能になります。
「複雑な集計作業を分析単位で都度行わなければならない」「手作業でグラフやチャートを作成する負担が大きい」などの課題に対し、データの収集・蓄積・加工・分析という工程をワンストップで行うことができるデータ分析基盤がスピーディな分析を可能にします。
また、複雑な分析を行うには専門的な知識が必要であり、データ分析やレポーティングなどの業務は属人化しやすい課題がありました。データ分析基盤が整備されることで、専門知識の有無に関わらず誰でも容易にデータにアクセスでき、すべての従業員がデータに基づいた活動、意思決定が行えるデータドリブンな組織へと変革することができます。
データ分析基盤を構築することにより、次のようなメリットが挙げられます。
データ分析基盤によりデータ分析のプロセスが統合され、大量のデータであっても複数のツールを使い分ける必要なく、収集・加工・分析までワンストップで行えます。
社内外のあらゆるデータが活用できることにより、分析の精度を高めることができます。データの一元管理により誰でも容易にデータにアクセスできるため、スピーディーな分析にも貢献します。
統合された基盤上でデータ分析を行うことにより、専門的な知識を要する人材でなくてもデータに容易にアクセスできるため、分析作業の属人化を防止することができます。データの一元管理により、データの管理・保管に様々な部署や人が関わることで、ヒューマンエラーを回避することにもつながります。
客観的なデータに基づく精度の高い分析により、根拠が明確になり、適切な意思決定をスピーディに行うことができます。統合された基盤を整備することで、データに基づく戦略立案や、勘や経験に頼らないデータドリブンな意思決定が可能になります。
データ分析基盤の役割には、大きく「収集・蓄積」「加工」「分析・可視化」の3つの役割があると述べましたが、具体的にどんな機能(システム)で実現するかをご紹介します。
業務システムやWeb、IoTデバイスなどからデータを収集し、データソースとデータ分析基盤を連携します。一般的にはシステム開発が必要な領域ですが、後述するような、ノーコードでデータ連携を可能にするデータ連携ツールもあります。
上述した収集したデータを蓄積する役割を担うのが「データレイク」です。
分析しやすいように加工したデータを保管する役割を担うのが「データウェアハウス(DWH)」です。データの加工は、収集と同様に一般的にはシステム開発が必要な領域ですので、後述するノーコードでデータ連携を可能にするデータ連携ツールを利用するとよいでしょう。
「売上分析」「顧客行動分析」といった特定の用途で必要となる加工済みのデータを保管する役割を担うのが「データマート」です。そして、分析してグラフやチャートなどの形に可視化するためのツールが「BIツール」です。
なお、データレイク、データウェアハウス、データマートの違いについては以下の記事に詳しく解説されていますので、参考にしてください。
さらに、社内の業務システムなどのデータソースとデータ分析基盤の連携をスピーディに進めるのに有効なのがデータ連携ツールです。
「ASTERIA Warp」は、専門的なプログラミング知識を持たない方でも利用できるデータ連携ツールです。既存のデータベース、ファイルシステム、各種業務システムやクラウドサービスとのデータ連携を、アイコンのドラッグ&ドロップとプロパティの設定のみで連携でき、さらに「ノーコード」で行うことができるのが特長です。
「ASTERIA Warp」は多様なデータソースに対応しており、データの変換・加工機能も充実しているためBIツールを使ったデータ分析基盤の構築を、ノーコードでスピーディに行うことが可能です。
ASTERIA Warpは様々な企業で導入されており、既存業務やシステムに改修を加えずにデータ分析基盤を整備した事例もあります。
たとえば、インターネット広告事業や、メディアやアプリの開発・運営事業など、幅広い事業を株式会社アドウェイズでは、レポート作成担当者が各広告媒体から「広告配信データ」を手作業で取得していました。こうした課題に対し、「広告配信データ集約プロジェクト」を立ち上げ、ASTERIA Warpを採用。レポート作成担当者が手作業で取得していたデータ収集を自動化し、100時間の業務削減を可能にしました。
さらに、約50種類ある広告配信データのフォーマットを統一し、活用しやすい形でAmazon S3にアップロードすることでさまざまな部門が見やすいデータを作成・共有することができました。
また、医療業界に向けた多様なリサーチサービスを提供する株式会社アンテリオでは、医薬品のプロモーション活動を調査・測定するサービスのシステムを刷新。その際、医師からのアンケート回答データをクレンジングし、統計処理を実施するシステムを自社開発することとしました。
その際、ウイングアーク1stの集計・分析プラットフォーム「Dr.Sum EA」、BIダッシュボード「MotionBoard」を中核としたシステムとの連携に採用されたのがASTERIA Warpでした。これにより、処理の変更を自社で迅速に対応できるため、時流に沿った調査方法を柔軟に実施できるようになったほか、既存システムに比べてデータ処理の時間も約1/2に短縮するなど、処理性能も向上させることができました。
データ分析基盤の構築に、既存業務や既存システムに手を入れなければならないとなると抵抗が多く、実際に導入に至っても結果を出せるまで時間がかかる課題があります。
既存業務や既存システムに改修を加えずに構築できるASTERIA Warpなどのノーコードツールを有効に活用し、データを有効に活用できる仕組みを整備してみてはいかがでしょうか。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。