DX人材不足を解消⁉
業務に精通したデジタル活用人材を育成する「リスキリング」手法とは

リスキリング

DX推進上の課題は「人材不足」

多くの企業や組織がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている中、DXに必要なスキルを持つ人材、いわゆるDX人材不足が深刻な問題になっています。

IT調査専門会社のIDC Japanが2021年11月2日に発表した、DX動向調査の日本と世界の結果の比較によれば、国内企業におけるDX推進上の課題は「必要なテクノロジーを持った人材の不足」が42.0%で、世界の企業の22.7%と比較すると、19.3ポイントもの開きがあり突出していることがわかりました。

また、世界の企業で課題認識が高く、かつ国内企業の認識と差がある項目として「実施のための予算が不足(11.6ポイント差)」「変革に対する社内の抵抗(6.0ポイント差)」があります。これらの項目はDXの実装段階において直面する課題ということができることから、いずれ、多くの国内企業でも直面することが考えられます。

IT人材不足を解消する「リスキリング」と「リカレント」とは?

こうした課題に対し、人材の有効活用を促進するために、社内の人材をDX人材に転換させる取り組みとしてリスキリング(Reskilling)の重要性が高まっています。経済産業省はリスキリングの定義として「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と示しています。

スキルの「学び直し」という意味で、社会人の転職やキャリアアップの文脈で用いられることがあるものの、近年、ビジネスのデジタル化に伴い、テクノロジーの進展や産業構造の変化によって新たに生まれる仕事や、業務プロセス変革に対応するためのDXに向けたスキル習得の取り組みを意味することが増えてきました。

また、リスキリングと似た考え方に「リカレント教育」があります。「スキルの再教育、新たなスキルの獲得」という意味では大きな違いはありませんが、リカレント教育は、大学に入り直すなど「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回すことで、職を離れて新しいスキルを身につけることが前提で、従業員側に主体が置かれた考え方といえます。

これに対し、リスキリングは、企業側がこれから必要となる新しいスキルを従業員に身につけてもらう取り組みという点に主眼が置かれます。主体は企業側に置かれ、今後もビジネスで価値を創出し続けるのに必要なスキルを学ぶ点が重視されています。

企業は、厳しいビジネス環境を生き残る競争力強化のために、テクノロジーを駆使し、データから新たなビジネスの価値を生み出すことや、新たなビジネスモデルを生み出すことにチャレンジする必要があります。そこで、あらゆる従業員にこれからのビジネスに求められるスキルを習得してもらう取り組みが必要になってきました。

リスキリングが企業にもたらす効果

リスキリングによって企業にもたらされる効果としては、多くの従業員がデジタルテクノロジーを活用し、新たな価値を創造できるようなスキルが再開発されるなど、新たな業種や職種などへの人材投資として、企業に大きな影響を与えることが考えられます。

たとえば、従業員が新しいスキルや知識を習得することで、従来にはなかったビジネスアイデアが社内から生まれやすくなる「新たなアイデアの創出」といったメリットや、獲得したスキルや知識を既存の業務の改革、効率化に役立てることができる「業務効率化、生産性向上」といったメリットです。

また、長く社内で活躍してくれた人材のリスキリングによって、既存の従業員が今まで作り上げてきた「企業文化を継承」しつつ、自社の強みや優位性を生かした戦略にシフトしていくことができるといったメリットが考えられます。

さらに、既存の社内人材を有効活用することで、採用コストの削減にも寄与することができるでしょう。前出のIDC Japanの調査結果では、DX推進上の課題に「予算不足」「社内の抵抗」といったポイントが挙げられており、組織風土やコスト面での課題解決に有効な取り組みといえるでしょう。

このように、リスキリングは新しいビジネスモデルの開発や付加価値の高い商品・サービスの創出のために重要な要素となります。企業の人事戦略に不可欠な要素の一つになるということが言えるでしょう。

海外や日本のリスキリング先進事例

海外の先進企業をはじめ、国内企業でもリスキリングの取り組みをはじめる企業が増えています。

リスキリングに先進的に取り組んだ企業として知られるのが米国の通信企業AT&Tです。同社は2008年に行った社内調査で、従業員25万人のうち、「将来の事業に必要なサイエンスやエンジニアリングのスキルを有する人は約半数に過ぎない」ことを把握しました。そこで2013年に「ワークフォース2020」というリスキリングのプログラムをスタートし、2020年までに10億ドルかけて10万人の従業員のリスキリングを実行することをめざしました。これにより、現在、社内の技術職の81%が社内異動によって充足されているということです。

また、国内企業でもDXに向けたリスキリングを実施する企業が増えてきています。製造業では、日立製作所が、国内グループ企業の約16万人を対象にこを実施。生産現場やスタッフ部門で働く社員にもDXの知識習得が必要だと判断し2020年4月から実施しています。

商社では、住友商事が、AIデータ解析ツール等を手がけるaiforce solutionsと協業し、全社の人材育成にもAI活用を取り入れており、住友商事単体のみならず、グループ会社も含めaiforceのプログラムを通じたAI活用に関するオンライン教育を実施しているほか、三菱商事では、全社員が必要なデジタル知見を獲得するため、IT・デジタル活用プロジェクトで使用される技術・思考法等を評価・選定、活用できるようになることを目的としたIT・デジタル研修を実施しています。

リスキリングは一部のデジタル人材の育成!?

リスキリングに取り組む企業がある一方で、リスキリングに対して誤った認識があるのも事実です。たとえば、「リスキリングは、一部のデジタル人材の育成・獲得の問題である」という誤解があります。

DXは、企業のあらゆる価値創造のプロセスを変革する取り組み。このため、DXを担う人材育成のためのリスキリングは、一部のデジタル人材を対象にした取り組みではなく、現場の業務を担うすべての人材に対して実施されるべきものです。

また、「今から高度なプログラムや技術のスキルを学ぶ自信がない」「学び直しのための負荷が大きい」といった課題 もあります。確かに、企業にとってエンジニア人材は必要で、これを担うIT人材やエンジニア不足といった現状もあります。

しかし、上述したとおり、DXを担う人材は一部の人材だけではありません。スピーディな変革を実現するために、業務に精通した人材が変革を内製で牽引していくことが重要です。

DX人材不足の解消は「ノーコード」

このように、スキルを学ぶ自信がない、負荷が大きいなどの課題を解決する手段として「ノーコードツール」を活用する企業が増えてきています。これは、プログラミングなどの高度なスキルを有さなくとも、コードを書かずにクリックやドラッグ&ドロップといったマウス操作でアプリケーションなどのサービスを開発できるツールの総称です。

こうしたツールを駆使し、変革をスピーディに実行する能力を育成することも重要なのです。すなわち、業務に寄り添うヒアリング能力や、ノーコードツールを駆使して形にする能力、開発した新しいサービスを社内に浸透させ、利用してもらうための能力などの育成、開発も重要なテーマといえます。 

重要なのは「デジタル活用人材」の育成

企業がスピーディにDXを推進していくためには、業務に精通した人材がDXを主導していくことが重要だということがおわかりいただけたでしょうか。「デジタル専門人材」よりむしろ「デジタル活用人材」の育成という観点から、リスキリング成功のキーワードは「ノーコード教育」にあるといえるかもしれません。

アステリアでは、新たな技術スキルの習得や、「ノーコードツール」を無料で学習できるポータルサイト「NoCode Gate(ノーコード ゲート) 」を2022年4月よりオープンする予定となっている。すでにプレオープンサイトも立ち上がっており、ノーコードのデータ連携ツール「ASTERIA Warp」やモバイルアプリ作成ツール「Platio」などの動画学習コンテンツ約50本を先行公開している。

NoCode Gate

非IT人材をDX人材に転換させる取り組みとして、DXに向けたリスキリングにこうした学習ツールも駆使してみてはいかがだろうか。

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