本コラムの一応の区切りとなる今回は、MDM市場をオーバービューしていこうと思います。
最近になって国内でよく耳にするようになったMDMですが、キーワードとしては案外古いものです。海外ベンダーは数年前から国内で製品を展開しており、当社も2007年末に製品を発表しています。
世界の市場を見てみると、海外ベンダーが数年前に国内に製品を投入したぐらいですから、今では一大市場として認識されています。一説には2006年時点でMDM関連ソフトウェアの売上高は約340億円、2010~2012年には2000億円前後の市場になるといわれています。この金額は、今年度の仮想化ソフトウェアの世界市場の規模に匹敵する規模です。MDMの市場性は認識していただけるでしょう。
国内市場ではどうでしょうか。こちらは、残念ながら適当なレポートがないので市場規模は不明です。その代わりにITR/CIO Magazine誌が毎年調査発表している「IT投資動向調査2009」を参考に分析したいと思います。
結論から言うと“マスターデータの統合”という事項に対して企業はかなり高い重要度を示しています。この傾向は、当社のセミナーや日経BP主催のセミナーに対する企業の注目度と併せて考えると信憑性があることがよくわかります。
ただし、現時点ではまだ情報収集の段階であったり、他社の成功事例が登場するのを待っていたりする状況。本格的に企業がMDMに着手するのは来期ぐらいからといったケースが大多数だと思われます。
海外と日本のMDMに対する“温度差”は何によるものか。世界で既に立ち上がっているMDMと日本型MDMの違いついて少し触れたいと思います。
実は筆者は2007年と2008年に米国で開催されたMDM Summitというカンファレンスに参加しています。そこで感じた海外と日本の一番大きな違いは、ターゲット業種です。
ご存じの通り、欧米では昨年9月頃まで金融市場が好調でした。そのため保険・証券・銀行といった潤沢な資金を持つサービス業をターゲットにした顧客データ統合(CDI)が先行してMDMの市場を形成していました。ただ、昨年の秋以降は製造業を中心とした製品データ統合(PIM)へとMDMのトレンドはシフトしつつあります。これは一昨年、昨年のカンファレンスのセッション内容にも如実に反映されています。
国内はどうでしょう。日本は“ものづくり”の国ということもあって、今後のMDM市場の中心は製造業、すなわちPIMになることが予想されます。つまり、海外でも本格化はこれからというPIMが国内のMDM市場を活性化していくことになるだろうと考えられるわけです。
5回にわたりMDMの概略について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
この機会に社内のマスターデータに関わる課題に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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