コラム[入門編]第3回:マスターデータも品質管理が重要

前回、本コラムの最後に「マスターデータにはもう一つ大きな問題が潜んでいます」と書きました。その問題とはズバリ、「品質」です。

商品やサービスの品質を適切に管理することが大切なように、マスターデータも品質管理が欠かせません。ところがマスターデータの品質においては、ある種の“バラつき”が放置されているケースが散見されます。そこで今回は、マスターデータの品質管理に見られる問題を解説します。

「マスターデータの品質問題」とは何か。こう聞かれても、唐突過ぎて、具体的なイメージが浮かばない方が多いかもしれません。反対に、何のことかパッとイメージされた方は、何らかの形でマスターデータマネジメント(MDM)に携わった経験をお持ちでしょう。

マスターデータの品質問題の代表的な例に、レコード(データ)の重複があります。例えば、人事システムの従業員マスターに同じ社員の情報が複数登録してある、といった状況です。実際には1名の従業員に関するレコードが2件ある。つまり、人事システムは、同一の従業員を2人の別々の従業員として管理しているわけです。

そうした状況が好ましくないことは、言うまでもありません。労務管理や内部統制など、さまざまな面で支障を来たすことは容易に想像できます。

「従業員の情報が重複しているなんて…。さすがに、それはないよ」と思われる方もいるでしょう。では、取引先マスターや部品マスター、商品マスターについてはいかがですか。「重複はない」と、自信を持って言い切れる方はそれほど多くないのでは?

取引先マスターを題材に、簡単な例を考えてみます。

まずは、株式会社の表記の違い。「インフォテリア株式会社」と「インフォテリア(株)」の2種類が取引先マスターに登録してある。次に、株式会社の位置。本来は後株にするところ、入力ミスなどにより「株式会社インフォテリア」や「(株)インフォテリア」となっている。最後に、株式会社の表記の有無。表記を忘れた、あるいは省略したなどの理由で「インフォテリア」としている。

このように社名の表記だけでも、1社に対して5件のレコードが取引先マスターに存在する可能性があります。もちろん、重複レコードを内在しているマスターデータは品質そのものに問題があり、信頼できません。

敢えて単純な例を挙げましたが、「心当たりがある」と感じた方は意外と少なくないのではないでしょうか。上記は単一システムのマスターデータが前提ですが、社内システム全体に視野を広げると、品質の問題は、より深刻さを増します。行き当たるのは、コード体系の問題です。社内のシステム間でデータを連携・統合する際、システムごとにコード体系が異なっていたため、難儀した経験はありませんか。

こうしたマスターデータの品質に関わる課題を解決するために、MDMでは「データクレンジング」や「名寄せ(統一コードの生成)」と呼ぶ作業を通じて、表記の揺れを解消することが重要になってきます。しかも、一定期間ごとにデータクレンジングを実施して、マスターデータの鮮度を常に高い状態に保つことが不可欠です。

理由は単純です。一度データクレンジングや名寄せ(統一コードの生成)をしたからといっても安心できないからです。残念ながら、「適切に運用管理をすれば全て解決だ!!」とはならない。それがMDMの難しいところでもあります。

マスターデータの種類によっては、自社の努力だけでは品質をコントロールしきれないものも存在します。外部要因によって劣化していくのです。

取引先マスターや顧客マスターに含まれる住所や社名は、その典型。平成の大合併の際には、市町村名や郵便番号などの変更をマスターデータに反映するのが追いつかず、品質が劣化したという企業もあったでしょう。再編の動きが加速している産業では、M&Aやグループ内の事業統廃合によって、取引先の社名や住所が変わるといったこともあります。

このようにマスターデータ管理は企業にとって重要であるということはお分かり頂けたと思います。
マスターデータの現状について紹介したところで次回はいよいよ本題であるMDMについてご説明したいと思います。



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