デジタルトランスフォーメーション(DX)に求められる開発スピードは高まり、IT人材の不足も深刻化する。「開発の内製化」と「IT人材の育成」が2大テーマとなる中、急速に普及するのが「ノーコード開発」だ。プログラミング無しでデータを連携させ、圧倒的なスピードで業務をデジタル化できる。8000社の顧客ベースを持つSCSKは「ものづくり革新」を掲げ、これを新たな開発基盤「S-Cred+」によって実現している。いまDXに求められている価値とは何か。アステリア株式会社 代表取締役社長/CEOの平野洋一郎氏が、SCSK株式会社 代表取締役 執行役員 社長 最高執行責任者の當麻隆昭氏に聞いた。
當麻 当社は2011年に住商情報システムとCSKの合併によって誕生しました。約8000社に上るお客様に対し、コンサルティングからシステム開発、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、ITハード・ソフト販売、BPOまで、ビジネスに必要なすべてのITサービスをフルラインアップで提供しています。「夢ある未来を、共に創る」を経営理念に、社会と共に持続的発展を成し遂げ、「共創ITカンパニー」を目指しています。
平野 当社が2007年に上場する以前から、御社とは「ASTERIA Warp」のトップパートナーとして長くお付き合いさせていただいています。その中で、御社が「共創」を掲げて、大切に事業を進めていらっしゃることを私たちも実感しています。
當麻 2022年度は、4つの事業方針を掲げています。「(1)お客様のDXを加速していく」では、DXに必要なデジタル技術とデータ基盤をしっかりと提供していきます。「(2)個客志向からマーケット志向への進化」では、受託型のモデルを変革し、外部の協力企業と連携する「クラウドサービス・インテグレータ」としてサービス強化を目指しています。「(3)特定領域の戦略的強化」では、当社のERP基盤「ProActive」によって基幹システムを整理し、効果的なDXへつなげます。「(4)事業変革による収益性強化」では、知財をフル活用するサービス型ビジネスモデルを実現し、営業利益率15%超を早期に実現します。
平野 御社はESG経営への取り組みでも、先進企業として知られていますね。
當麻 はい。最近では、カーボン排出量削減に向けた新ソリューション「Persefoni」の販売を開始しました。また、ESGの「S(ソーシャル)」にあたる健康経営にも力を入れており、8年連続で「健康経営銘柄」に選定していただいています。
平野 私も健康経営に大いに共感します。当社も今年8月に新たなCWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)を迎え、社員が心身共に健康であることに力を入れています。
當麻 スイスの国際経営開発研究所(IMD)の「世界デジタル競争力ランキング2021」によれば、日本は64カ国中28位と過去最低を記録しました。2025年には43万人のIT人材が不足すると言われています。
日本のIT業界は労働集約型のビジネスモデルを脱し、生産性の向上とサービスの高度化を目指す必要があります。当社は「ものづくり革新」をテーマに掲げ、まずは品質と生産性で業界ナンバーワンを目指します。
その次は「高度化」です。当社の開発プロセス標準「SmartEpisode Plus」をベースに、「ものづくり革新」を実現するための新たな開発基盤「S-Cred+(Smart Co-work on Relationship, Engineering and Design Plus)」の提供を開始しました。弊社のローコード/ノーコード開発基盤である「FastAPP」や、ノーコードでWebアプリを開発できるクラウドサービス「CELF」によって生産性を一気に高めます。
平野 御社はこれまでも様々なツールやテクノロジーを組み合わせてお客様の要求に応えてこられました。今回の「ものづくり革新」でも、「S-Cred+」というしっかりとした開発基盤の上で様々なツールを提供されています。当社のようなソフトウェアメーカーとしても、安心してテクノロジーを提供できます。
當麻 お客様が持つ多彩なデータソースを柔軟につなごうとしたとき、最も効果的なツールが「ASTERIA Warp」です。活用することで、ノーコード開発の大きな利点である「属人化の排除」を実現して開発効率を向上させ、DXの主要なテーマである「開発の内製化」や「IT人材の育成」を支援できます。
「S-Cred+」のノーコード開発基盤を支える重要な技術として、今後も「ASTERIA Warp」に期待しています。
當麻 御社の特徴は、技術力もさることながら、お客様のニーズを製品に反映しようとする姿勢とスピード感です。加えて、平野社長には業界を変革していこうとするリーダーシップと熱意がある。ノーコードひと筋に20年間続けてこられた実績も、大きな信頼につながっています。
平野 御社の現場の方々の熱意にも脱帽です。お客様の要求を実現するために当社スタッフと協働し、形にしていくバイタリティは業界屈指のものだと感じています。
私はぜひ御社と一緒に実現したい目標が3つあります。「データ連携のさらなる強化」「ノーコードによる企業ソフトウエア文化の変革」「世界への展開」です。世界にネットワークを持つ御社と、新たな価値を創造していくことができると信じています。
當麻 業界には「ノーコードで仕事が無くなる」などと言う人がいますが、全く違います。お客様のニーズにしっかりと応え、さらなる高みを目指さなければ、日本のDXは向上しません。SI業界を高度化し、さらに発展させるためにも、御社との共創に大いに期待しています。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
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