iPaaSとは|導入のメリットやデメリット、ツールの選び方を解説

2023/08/02

iPaaS integration platform as a service

iPaaSとは

iPaaS(アイパース)とは、「Integration Platform as a Service」の略で、複数のシステムやアプリケーションを連携し管理するサービスです。自社でサーバーなどを管理せず、インターネット上で提供されているサービスを使うクラウド型のプラットフォームで、自社でサーバーや回線、システムを構築するオンプレミスとの連携もできます。

iPaaSはデータ統合で使われることが多い

iPaaSはデータを統合する目的で導入するケースが多いです。

企業のDX促進や、テレワークの導入により、さまざまなクラウドサービスを利用する企業が増えました。結果として、あるデータはAというサービス上に、また別のデータはBというサービス上に保管され、データが複数のサービス上に散在することになったのです。

データが散在することで、運用・管理が煩雑になり、データ活用も難しくなります。とはいえ、手動でデータを転記したり、自社で連携プログラムを開発するには時間もコストもかかります。

SaaS、PaaS、IaaSとの違い

iPaaSと似たような言葉にSaaS、PaaS、IaaSなどがありますが、それぞれ以下のような違いがあります。

システム 概要 メリット デメリット
iPaaS
  • 「Integration Platform as a Serviceの略
  • 複数のシステムやアプリケーションを連携し管理するサービス
  • システムやアプリケーションの連携ができる
  • リアルタイムでデータの同期や連携ができる
  • APIが公開されていないシステムやアプリケーションは連携できない
SaaS
  • 「Software as a Service」の略
  • 従来パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット上で利用できるようにするサービス
  • 必要なサービスをサブスクリプションで利用できる
  • カスタマイズを行うことが難しいものが多い
  • データの移行が困難
PaaS
  • 「Platform as a Service」の略
  • アプリケーションが稼働するためのハードウェアやOSなどを、インターネット上で利用するサービス
  • サービスやアプリケーションの開発のみに集中できる
  • 初期費用や時間、全体のコストが抑えられる
  • 開発環境をカスタマイズすることが難しい
IaaS
  • 「Infrastructure as a Service」の略
  • 仮想サーバーなどのインフラを、インターネット上で提供するサービス
  • 環境構築の自由度が高い
  • システム管理の負担が少ない
  • 構築するには専門知識が必要
  • メンテナンス範囲が広く、運用負荷が高い

iPaaSは4つの型にわけられる

iPaasは機能別に分けると、以下のような方に分類できます。

レシピ型

PaaSの中でも「レシピ型」は、よくある連携処理がパッケージ化されており、他のiPaaSより簡単に連携処理を作成することができます。データ更新や操作をトリガーとして処理を実行することができ、リアルタイム連携が得意です。有名なクラウドサービスとの連携においては、少ないステップで簡単に処理を作成することができます。

ETL/ELT型

ETLはExtract Transform Loadの略で、データを抽出(Extract)、変換(Transform)、出力(Load)するためのサービスです。さまざまなデータソースからデータを収集、DWHなどに格納し、分析ツールで活用できるようにするために使われます。従来、ETLはバッチ処理が基本でしたが、データ量の増加や刻一刻と変化するデータの分析に対応するため、リアルタイム連携やマイクロバッチ連携を行う「ストリーミングETL」も登場しています。

ELTはExtract Load Transformの略で、データを抽出(Extract)、出力(Load)、変換(Transform)の順序で処理を行うものでETLとは変換処理のタイミングが異なります。

EAI型

「Enterprise Application Integration」の略で、企業内で業務に使用される複数のシステムを連携させ、データやプロセスの効率的な統合(Integration)をはかる仕組みおよびそのシステムを指します。

ESB型

「Enterprise Service Bus」の略であり、企業内のアプリケーションやシステム間におけるデータ交換やサービス提供を するために設計するアーキテクチャ・統合技術のことです。

ESBは、異なるプラットフォームの アプリケーション間でデータ・モデルの変換、コネクティビティーの処理などの統合管理が行え、「SOA」を実現します。SOAとは「Service Oriented Architecture」の略語であり、日本語では「サービス指向アーキテクチャ」と訳されます。これは大規模なシステムを構築する際の設計思想や開発手法のことを指し、このSOAを実現するための技術の1つとして、ESBというシステム同士をつなぐ連携基盤があるのです。

RPAやデータ連携ツールとの違いと使い分け

連携して業務を自動化するという点では、RPAやデータ連携ツールとiPaaSは似ているといえます。違いをまとめたので使い分けの参考にしてください。

  RPAツール iPaaS データ連携ツール
導入目的とソリューション
  • 定型業務の自動化
  • 人が行っていた画面操作をロボットが代行
  • データやシステムの連携・統合管理
  • データやシステム間の連携・統合管理
主な機能
  • PC操作画面の録画・再生
  • 画像認識
  • 外部サービスとの連携コネクター
  • データ加工変換
  • 外部サービスとの連携コネクター
  • データ加工変換
環境 オンプレミス クラウド オンプレミス
連携方法 画面操作 インターフェース連携 インターフェース連携
処理速度 人が行う速度 高速(1秒に数千件など) 高速(1秒に数千件など)
メリット
  • 画面操作を記憶させる方法なので、IT知識がなくても利用可能
  • APIがなくても連携可能
  • オンプレミスでもクラウドでも連携可能
  • リアルタイムでデータの連携や処理が可能
  • APIなどを利用しているので、画面の仕様変更の影響を受けない
  • 大量のデータを高速で処理、同期できる
  • サーバ上で動かす製品が多くIT管理者の負担が少ない
  • リアルタイムでデータの連携や処理が可能
  • APIなどを利用しているので、画面の仕様変更の影響を受けない
  • 大量のデータを高速で処理、同期できる
  • サーバ上で動かす製品が多くIT管理者の負担が少ない
  • 日本製のシェアが高く、日本のクラウドサービスやパッケージ製品との連携が柔軟に簡単。
    サポート対応の質も高い
デメリット
  • 画面が複雑だったり、画面変更が頻繁だと連携が停止するリスクがある
  • エラー処理やデータの加工、判別処理が困難
  • 大量のデータ連携を行う場合は、処理が低速になったり、できなかったりする
  • クライアントPC上で操作する製品が多く、IT管理者の管理の手間が発生する場合もある
  • APIが公開されていないと連携できない
  • 海外製品が多いため、日本のサービスとの連携に不向き。また、サポート対応の品質も低い
  • 製品によってはIT知識が必要
  • クラウド環境のため、オンプレミスとの連携が弱い
  • APIが公開されていないと連携できない
  • 製品によってはIT知識が必要

RPAはAPIの有無に関わらず自動化できる上、ITの専門知識がない人でも扱えます。iPaaSは仕様変更に強く高速処理が可能です。それぞれの違いを理解し、特性を活かして使い分けるのが良いでしょう。

RPAの詳細についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
RPAでどのようなことが出来るのかやRPAツールの選び方について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

iPaaS導入のメリット

iPaaSを利用することで、さまざまなサービスやシステム上にあるデータを連携することが可能です。
iPaaSを導入するメリットは大きく以下の3点があげられます。

サービスやシステムの連携が行える

APIというアプリケーションやソフトウェア、プログラムを繋ぐインターフェースを使うことで、さまざまなサービスやシステムを簡単に連携できるようになります。クラウド型のアプリケーションだけでなく、前述した通り自社のサーバー等にあるシステムとの連携も可能です。

また、サービスの仕様変更や新しいサービスを導入する際にも対応しやすいのもメリットです。

データの同期・高速処理が行える

社内のシステム連携を行うことで、データのリアルタイム同期が可能になります。また、各部署がそれぞれデータを管理していたため、分析のために各部署に問い合わせて収集したり、システムから数値を抽出して表にまとめるなどの処理が必要でした。

しかし、iPaaSで連携することにより、高速で処理して分析しやすい形に自動でまとめることができます。

過去のデータの活用が行える

それぞれのシステムに蓄積してきた、過去のデータの活用が可能です。特に、オンプレミスで運用してきた基幹システム上のデータなども活用できます。膨大なデータは企業にとって財産ともいえるため、活用できるのは大きなメリットです。

iPaaSのデメリット

iPaasのデメリットとしては、以下の3つが上げられます。

APIが公開されていないサービスには使用できない

iPaaSはシステムやサービス側で公開されているAPIを利用して連携します。そのため、APIが公開されていない場合は使用できません。

APIについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

製品によってはシステムの深い知識が必要となる

iPaasには大まかに、レシピ型、ETL/ELT型、EAI型、ESB型で分類することができます。レシピ型のiPaas製品の場合は自社の業務にあったレシピを選択するだけなので複雑な知識は不要ですが、ETL/ELT型、EAI型、ESB型の製品は、データ連携時に多様かつ高機能な処理が可能な反面、連携システムや連携データに対する深い知識が必要となります。

クラウド環境のためオンプレミスとの連携が弱い

クラウドとオンプレミス環境でデータを連携する際には、多くの企業で社内ルール、セキュリティ対策の一環、異常発生時のデータリカバリがしやすいという理由でファイル転送方式での連携が主流となっています。そのため、API利用など多様な連携方式を採用することが難しく、転送されたファイルをデータ連携サービスなどで抽出・変換するなどしてやりとりすることが一般的です。

iPaaSの選び方

iPaaSにはさまざまなツールがあります。どのようなポイントに注目して選んだら良いのかご紹介します。

自社を含めた日本企業でも使いやすいサービスか

iPaaSは海外製のサービスが多いです。そのため、サービスによっては以下のようなデメリットがある場合もあります。

  • 日本のビジネスの仕組みと馴染まない
  • 日本独自のサービスと連携が難しい
  • サービスやサポートが英語

海外ツールの場合ビジネスの習慣や基本が違うため、自社のニーズと合わないこともあります。日本の企業の活用例などを参考にするのが良いでしょう。また、連携したいシステムやアプリケーションが日本独自のものの場合は連携が難しい可能性もあるため、どのようなシステムと連携できるかの確認は詳細まで行っておくことが重要でしょう。

さらに、操作やサポートが日本語対応していないことも考えられます。このような場合は導入時の相談がしにくい可能性があるため、ツールの内容だけではなくサポートの内容まで確認をするようにしましょう。

連携できるツールの数

iPaaSでは、連携できるツールの数がサービスごとに異なります。たくさんのツールと連携した方がが便利ですが、連携したツールの数に応じてコストがかかるサービスが多いので自社の規模や現在利用しているツールの数を参考に選ぶのが良いでしょう。

操作性の高さ

ツールとして使いこなすためには、操作性の高さは重要です。長い研修が不要で、直感的に操作できるものであるほうが業務効率を高めることができます。開発メンバーだけでなく、IT機器に不慣れなメンバーでもわかりやすいかどうかを一つの判断基準とすることがおすすめです。

代表的なサービス

代表的なiPaaSのサービスには以下のようなものがあります。

  • Anyflow
  • Zapier
  • Workato

Anyflow

ビジネスの成長は、自動化から生まれる。

Anyflow(エニーフロー)はプログラミングなしで利用できる、国内製品のiPaaSです。複数のSaaSにまたがる作業を「ワークフロー」として登録することで業務の効率化を図ります。

Zapier

Build it your way without writing code

Zapier(ザピアー)は2,000種類以上のWebアプリケーションを組み合わせてワークフローを構築し、業務効率化を図ります。数回のクリックでワークフローが構築できる点や、フリープランで試してみることができるのもメリットです。

Workato

Workatoとは

Workato(ワーカート)は「レシピ」と呼ばれる定型化した接続や活用方法が、テンプレートのように登録されています。15万通りあるレシピの中から選ぶだけで、プログラミングなしで使えるのがポイントです。

Workatoとは

様々なサービスとノーコードでデータ連携

データを連携させる方法として、データ連携ツールを検討してみるのもおすすめです。データ連携ツールはiPaaSと前述のRPAツールの両方の特徴を持ちます。前述の表と同じ項目をご紹介します。

  • 導入目的とソリューション……データやシステム間の連携、統合
  • 主な機能……社内システムや外部サービスとの連携、データ加工変換
  • 環境……オンプレミス
  • 連携方法……インターフェース連携
  • 処理速度……高速(1秒間に数千件など)
  • メリット……日本製が多い、リアルタイムでデータを連携、主にAPI連携で画面変更の影響を受けない
  • デメリット……APIが公開されないと連携ができない、製品によってはIT知識が必要

日本製品のシェアが高く、日本のサービスとの相性が良い上、サポートも充実しているので安心です。

ノーコードで開発を行うことができる「ASTERIA Warp」

データ連携ツールのASTERIA Warpであれば、ノーコードで開発を行うことが出来ます。ノーコード開発とは、プログラミングコードを使わずに開発を行うことで、ITの専門知識がない人でもツール開発が可能です。そのためITの知識がないメンバーでも簡単にそれぞれのデータを連携できるのが強みとなっています。

テンプレートを選べば、すぐに使い始めることもでき、自社に合わせて機能を追加することもできます。多くの国内企業の導入事例もあるため、自社の課題に合わせて同じようなデータ連携をおこなう企業の導入例からどのようなことができるのか是非ご確認ください。

製品の詳細や実際の導入事例はこちらのページでご紹介しています。

まとめ

業務の自動化・効率化のためにデータ連携をする場合、iPaaSやRPA、データ連携ツールなどさまざまな手法が考えられます。どのようなサービス、ツールを選ぶかによってできることに違いがありますので、自社に合ったサービスを探してみてください。

RPAの様々な連携事例に関してはこちらのページでご紹介しています。

データ連携の詳しい事例についてはこちらでご紹介しています。部門をまたいだプロジェクトの推進やツール併用による業務自動化について、詳しくお話しておりますのでこちらをご覧ください。

API連携を活用したデータ連携に関してはこちらでご紹介しています。APIを活用したデータ連携の注意点や実際の事例に関してはこちらをご覧ください。



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