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新型コロナウィルス感染症のパンデミックや、国際紛争、環境問題など、ビジネスを取り巻く環境は不透明さを増し、変化のスピードが高まっています。ビジネス環境の変化に柔軟に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が企業の大きな経営課題となっています。
デジタル化するビジネス活動を通じて、企業が保有するデータ量はますます増大し、それらを利活用してDXを推進するニーズが高まっています。そして、データを分析した結果に基づき、経営の意思決定を行う「データドリブン経営」を行うことが、DX実現のテーマの一つとなっています。
以下では、「データドリブン経営」の重要性についてさらに詳しく解説します。
現代の消費者は価値観やニーズが多様化しており、行動も日々変化しています。このため、従来の勘や経験に頼るマーケティング手法では適切に対応できないケースが増えてきました。
しかし、購買履歴やサイトのアクセスデータを活用することで、顧客一人ひとりに最適化されたアプローチが可能になります。たとえば、データをもとにおすすめ商品を顧客に表示する仕組みを導入することで、購入率の向上や売上増加が期待できます。
経営層やステークホルダーに意思決定を促す際には、分析結果を分かりやすくまとめ、説得力のある資料を提示することが重要です。従来、このような業務は複数のExcelファイルを手作業で統合するなど、時間と労力のかかるプロセスが必要でした。
しかしデータ活用基盤を整備することで、膨大なデータからのレポート作成を自動化し、短時間で必要な情報を提供することが可能になります。
市場の変化をいち早く把握し、新商品の開発や有効なサービス展開を行うことで、企業の競争力を高めることができるでしょう。
これまで見過ごされていた無駄や非効率な部分を明らかにし、業務プロセスの改善を図ることも可能です。
たとえば、社用車に運行管理システムを搭載することで、位置情報や速度情報などを自動で収集できるようになります。このデータを活用すれば、その日の運行記録が自動生成され、手作業で行っていた日報作成にかかる時間と手間を大幅に削減することが可能です。
さらに収集したデータを分析することで、渋滞が頻発するエリアや危険な箇所を特定し、効率的な移動ルートを見直すこともできます。
データドリブン経営は、生産性の向上や従業員の負担軽減、コスト削減にもつながる、企業にとって欠かせない取り組みと言えるでしょう。
国内企業におけるデジタルデータの活用の現状について、「令和2年版 情報通信白書」では、日本と米国、ドイツとの比較を行っています。
これによると、データ収集、データ蓄積、データ処理の導入を「導入済み」と回答した割合は日本が2割程度であるのに対し、米国やドイツではデータ収集については5割、データ蓄積については4割、データ処理については3割を超える企業が導入済みと回答しています。
このように国内企業のデータ活用はあまり進んでいない現状があるようです。その背景として、次のような課題が考えられます。
企業は複数のITシステムを同時に運用しています。最近ではシステム基盤がオンプレミス、クラウドと多様化しており、システムごとに別々の場所にデータが保管されている場合があります。データ分析を行う際に、データが別々の場所に散在している状態では、効率的な分析を行うことができません。
データが一元管理されていないことでシステム間の連携がとれていないサイロ化された状態となり、システムごとに同じようなデータを多重入力するような問題が発生します。その結果、分析に必要なデータのフォーマットが統一されず、分析可能な状態に加工するための時間や手間などのコストがかかるなどの問題が発生します。
基幹系システムなどでは、業務遂行に必要なデータ以外は、ディスクスペースの確保や処理速度維持などの理由から削除されるケースがあり、長期間のデータを分析したいというときに、該当期間のデータがないという可能性があります。
こうした課題を解決するのに有効なのがデータ活用基盤の整備です。たとえば、データウェアハウス(DWH)は、複数のシステムから集めた多くのデータが分析しやすいように整理されており、データ分析をサポートするためのメソッドやテクニック、ツールの集合体です。
また、様々なデータソースから収集したデータを格納する「データレイク」や、DWHのように整理されたデータ群で、用途がより細分化された「データマート」もデータ分析基盤の一つです。
最近では、クラウド事業者からサービスとして提供されるクラウドDWHも増えてきています。クラウドDWHとは何かについてはこちらの記事を参照してください。
データ活用基盤としてのクラウドDWHは、従来のオンプレミスのデメリットともいえる、ハードウェアを中心としたサイジングの複雑さや初期投資の大きさを解消し、初期投資を抑えながらすぐにDWHを構築(利用)できる点がメリットとなり、クラウドDWHを導入する企業が増えています。
そして、クラウドDWHを始め、DWHを上手に活用するのに重要なポイントは「データ連携」です。データ利活用に必要なデータは、クラウド上にある業務システムやサービス、既存のオンプレミスの業務システムなどに蓄積されているからです。
そこで、クラウドDWHにデータを統合するために、様々なシステム、サービス間を連携する「データ連携ツール」を利用することが重要なポイントとなります。
「ASTERIA Warp(アステリア ワープ)」は、特定の業務システムのデータ連携をノーコードで容易に行うことができるようにパッケージされており、基幹業務システムや、各種業務アプリケーションなど、100種類以上のデータソース間の複雑な連携やデータ変換をノーコードで実現することが可能です。
また、主要なクラウドDWHとの連携を容易に行えるアダプターも用意されています。「Google BigQueryアダプター」は、グーグル社が提供する「Google BigQuery」とのデータ連携を実現するもので、「Salesforce」や「Microsoft Dynamics 365」といったSFA/CRM、「Tableau」や「Dr.Sum」といったBIツールなどともシームレスなデータ連携をASTERIA Warpを介してノーコードで実現することが可能です。
そして、「Snowflakeアダプター」は、Snowflake Inc.が提供するクラウドDWH「Snowflake」とのデータ連携を実現するアダプター。これにより、社内に分散した膨大な情報資産を分析・活用していくための情報基盤を、クラウドDWHのSnowflake上にノーコードで構築することが可能です。
「ASTERIA Warp」は、プログラミングの知識がなくても、システムやツール間でデータを連携できるツールです。
とはいえ、「具体的にどんな場面で役立つのか」「どのように活用できるのか」と、イメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ASTERIA Warpを活用して実際にデータドリブン経営を実現した事例をご紹介します。是非、ご参考ください。
株式会社サイバーエージェント様は、インターネット広告事業において、各サービスの売上データを分析、成長していく環境を整備していますが、DX推進の一環として、データ連携におけるさらなるデータ活用の強化を検討していました。そこで、ASTERIA Warpを活用し、Oracle、MySQLなどのデータベースやGoogleスプレッドシート、Google BigQueryなどのクラウドサービスを含む多様なシステムから売上データを収集し統合する売上管理システムを3日で構築することができました。
さらに、リモートワークの拡大によるVPNやビデオ会議ツールの利用率などの分析環境をSnowflakeと連携することでスピーディに構築し、リモートワークの分析にも活用しています。
ハンドメイドコスメを製造・販売する化粧品メーカー、ラッシュジャパン合同会社様は、社内システムをクラウド(Google Cloud Platform)へ移行。EU本社で運用する注文情報管理をGoogle BigQuery上に移行したことで、会計や在庫といった国内システムとの連携が急務となりました。
そこで、ASTERIA Warpを採用。Google BigQueryとの連携アダプターにより、ノーコードで、スムーズな開発を実現し、各連携処理を数日で作成することができました。
「データドリブン経営」は、これからの経営を安定させるうえで欠かせない取り組みです。
しかしデータが社内で分散しており、データ収集・整備などの準備に時間やコストがかかることから、思うように分析を進められない企業も少なくありません。
課題を解決する鍵となるのが「データ連携」です。業務システムや各種サービスのデータを統合することで、効率的な意思決定が可能になります。
「ASTERIA Warp」は、100種類以上のデータソースとの連携をノーコードで実現できるツールです。データドリブン経営の基盤をスピーディに構築したいご担当者様は、是非ご検討ください。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
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