近年、DXの推進が叫ばれるなかで、自社の経営課題の解決や業務効率化のため、データの分析や活用に力を入れている企業が増えています。しかし、社内に散在しているデータを活用したいと思ってはいても、どのように活用すればいいのか分からずにお困りの方も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、ビジネスにおけるデータ活用の基礎知識を事例とともに解説します。
また、無料でダウンロードできるこちらの資料では、これから初めてデータ活用のための環境整備を行う方向けに、進め方を4つのステップに分けて詳しく解説しています。
目次
データ活用とは、企業にあるさまざまなデータを日々の業務の中で継続的に活用していくことで、生産性の向上や業務効率化を図ることです。トラブルなどがあったときにイレギュラーで分析するのではなく、日常的に継続して活用することを指します。
データを活用する企業は徐々に増えて来ており、また、経営のためにデータ活用したいと考えている企業も増えています。
総務省が発表した「令和2年版 情報通信白書」によると、2015年の調査結果と比べ、POSデータやeコマースによる販売記録を活用している企業が増えていることがわかります。
分析に活用しているデータ
(出典)総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」
データを記録している企業のうち、そのデータを上手く活用している企業がまだ多いわけではないのが、現状の課題です。特に企業別に見ると、大企業の活用割合は多いものの、中小企業ではまだまだ活用がしきれていないといえるでしょう。
分析に活用しているデータ(企業規模別)
(出典)総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」
また、日経クロステック Active(協賛:アステリア株式会社)が2024年3月に調査を実施した「データ活用/分析基盤の利用実態」は以下の記事からご覧いただくことができます。
データ活用があまり進んでいない背景として、次のような課題が考えられます。
ひとつずつご説明します。
組織内においては、部署や部門により以下のような個別のシステム・ツールを運用しているケースが多く見受けられます。
各部署や部門間、あるいはシステム同士の連携が取られず社内に点在し、データが「サイロ化」してしまっている状態では、スムーズな情報共有や分析・活用が阻害されてしまいます。
そのため、社内で多種多様なシステムを導入している場合、まずは点在しているデータを一元化する必要があります。
データ活用を進めるには専門的な知識が欠かせません。
しかし、近年ではIT人材の不足が深刻化しており、たとえ社内に情報システム部門があったとしても、基幹システムの保守や管理、障害対応など既存の業務だけで手一杯になってしまう企業が多いのが現状です。
従業員を育成するにしても、専門的な知識やスキルを身につけるためには時間がかかります。現在の業務をこなしながら学ぶのも大変でしょう。
また、即戦力として活躍できる人材を採用するのも一苦労です。特にデータ処理や分析ができる優秀な人材は需要が高いため、なかなか採用が進みません。
その結果、データ活用の取り組みが滞ってしまうケースも少なくありません。
データを正確に分析し活用するうえでは、元となるデータの正確性や信頼性、一貫性が重要です。企業が取り扱うデータは膨大で、ただやみくもに収集するだけでは、データソースが不明確であったり、誤った情報が含まれていたりする可能性が高まり、データを有効活用することができません。
また、社内に点在する各システムで保有しているデータが異なるフォーマットやファイル形式で管理されている場合、データの重複や欠損などが発生してしまい、データの一貫性や正確性を担保することができません。そのためフォーマットやファイル形式を統合する必要がありますが、手動で行う場合は手作業による人的ミスや時間的なコストなどのリスク増加が考えられます。
そのため、このようなデータの収集・加工・変換作業においては、ETLツールと呼ばれるツールを活用することで、上記のような手作業による課題を克服しつつ、データの一貫性や正確性を保つことができるでしょう。
データ活用することで正しく現状の把握ができるようになります。それにより、次のようなメリットがあげられます。
データ活用により次のようなことがわかるので、売上アップに繋げることができます。
推測や勘ではなく実際のデータを元に、効率的に売上アップのための活動ができます。
複数のデータを網羅的に見ていくことで、単一のデータを見ているだけでは気づかなかった、新しい戦略が見つけられる場合もあります。
また、データに基づいた戦略なので、立案や実行がスムーズで狙いも的確です。
データに沿って経営戦略を立てられるので、効果的に事業拡大ができます。また、前述した新しい戦略がどれくらい効果があったのかもデータで検証することが可能です。それらのデータを用いることで今後の予測も行えます。
社内外にどのようなデータがあるのか、具体的に紹介します。
オープンデータとは、誰でもインターネットなどを通じて簡単に利用できるように公開されたデータのことです。例えば、国や地方公共団体などが保有、公開しているデータで、次のように定義されています。
国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。
企業データは、次の2つに分けられます。
M2Mとは「Machine to Machine」の略で、人が介在することなく、機械同士が相互に情報をやりとりすることを指します。天候情報がわかるアメダスのように、計測や記録の機械から情報を収集する役割などのことを指します。これらのように、機械と機械を繋ぎ合わせて作り出したデータをM2Mデータと呼びます。
暗黙知データとは、企業が持っているデータの中で、M2Mデータと次に紹介するパーソナルデータ以外のものを指します。今後は身の回りのさまざまな知識がデジタル化されると考えられており、暗黙知データを用いることで従来は経験や勘などに頼っていたことがデータに基づいて進められるようになるでしょう。
パーソナルデータとは、個人を識別できる情報だけでなく、個人に関する情報全体を指します。具体例としては以下のようなものです。
これらの情報は個人が特定されないように加工されているので、個人情報には当たりません。
ビジネスでデータを活用するためには、以下のようなことに気を付けて取り扱うと良いでしょう。
データ活用のためのデータは信頼できるデータでなくてはいけません。信頼できるデータとは次のようなものです。
当然ながら、間違ったデータを元に経営の判断をすることはできません。数値は正しいことが前提です。さらに、比較や検討がしやすいように統一された表記が求められます。単位などを統一し、一目で内容を理解でき、誤字もないようにします。
また、データがどこから来たものかも信頼性に関わります。正しいところから得た正しいデータであることが証明できることが重要です。
社内のさまざまなツールに蓄積した多くのデータを集め分析することで、より良い検証や精度の高い予測ができるようになります。
また、課題や目的に必要なデータを意識的に集めることも大切です。分析したいことに対して、どのようなデータが必要なのか、不足しているのかを考えると効果的にデータを集約できます。
データの収集については以下の記事が参考になります。
正しいデータが必要なだけ集まったら、一目でわかるように分析します。例えば次のような形に加工すると可視化しやすいです。
どの方法が良いのかは、データの内容や使用方法によって異なります。多くの人に伝わりやすい形に加工するのがおすすめです。
また、データの加工手段として、EAIツールやETLツールを活用すると便利です。
飲食店や小売店では、仕入れや販売のデータを日常的に取り扱っており活用しやすいでしょう。では、各職種ではどのようなデータをどのように活用しているのか紹介します。
このようにさまざまな情報をデータとして扱い、集約・分析しています。
社内にはさまざまなデータがありますが、より効率的にデータを集め活用するには、以下の2点を意識することが大切です。
データ連携とはアプリやシステムに関わらず、データを集約し活用することです。データベースやクラウドなどさまざまな場所で保管されているデータを、組み合わせて活用できるようにします。
整合性のあるデータが扱えるようになるのもデータ連携のメリットです。データをバラバラで管理していると、在庫管理システムと販売管理システムの在庫数が異なり、在庫があるのに品切れと判断してしまうことがあります。データ連携していれば、どのシステムから確認しても同じ数値が確認できるようになります。
データ連携については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
さまざまな企業がさまざまなツールを使って分析をしていますが、市場は急激な速さで変化しています。集約したデータは、必要な時に必要な形で活用できるように、常に管理しておくことが重要です。
そこで、BIツールを使って必要な部分のみを分析すると良いでしょう。BIとはビジネスインテリジェンスのことで、データを集約しただけでなく必要な形に加工・分析した上で蓄積しています。
データ活用をするための連携方法としておすすめなのが、データ連携ツールの活用です。データ連携ツールを活用することで、データ活用のために重要なデータの集約・加工・分析をすることが可能です。データ連携ツールには、スクラッチ開発・ノーコード開発・ローコード開発という方法がありますが、はじめてデータ連携を行うまたはデータ連携に不慣れな方にはノーコード開発が良いでしょう。ノーコード開発とは、プログラミングコードの記述が不要で、誰でも簡単にツール開発が行える開発方法のことです。「ASTERIA Warp」なら、データ集約や加工も自動で行い、必要なデータをBIツールと連携し活用することもできます。
さらに、ノーコードで開発できるので、プログラミング未経験の現場の方でも、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で短期間に必要な機能を使いやすい形で作ることが可能です。
次の章では、ASTERIA Warpを実際に導入し、自社データの活用に成功した事例をご紹介します。
また、ノーコード・ローコードツールについてはこちらの無料ダウンロード資料で詳細に解説しています。
ここからは、実際にASTERIA Warpを導入し、データ収集の自動化による業務効率化や、BIツールとの連携によるデータ活用により企業の経営課題の解決を実現した事例をご紹介していきます。
Q.B.B.ブランドなどチーズを中心に扱う、食品メーカーの 六甲バター株式会社は、システム運用の属人化や複雑化が原因で全体を把握することが難しい、という課題がありました。そこでASTERIA Warpを活用し、経理システム・販売促進システムをBIツールと連携し、日次でデータを連携することで、今まで月次締後でないと確認できなかった経理データがいつでも確認できるようになりました。また工数削減という観点では、月次処理に手作業で約1時間かかっていた経費データのBIツールへの受け渡し処理が自動化され、約5分間の日次バッチ処理でデータを反映できるようになりました。
システムの細かな内容や実装までの流れはこちらで詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
インターネット広告事業やメディアやアプリの開発・運営などアジアを中心に世界各国に展開している株式会社アドウェイズは、「広告配信データ集約プロジェクト」をスタートしました。
当初、レポート作成担当者は自身が担当する各広告媒体からデータを手作業で取得していました。そこで、ASTERIA Warpを使って手作業で行っていたデータ収集を自動化し、100時間の業務削減が可能になりました。さらに、約50種類ある広告配信データのフォーマットを統一し、活用しやすい形でAmazon S3にアップロードすることでさまざまな部門が見やすいデータを作成・共有できています。
導入までの流れや連携の内容についてはこちらのページをご覧ください。
スマートフォン向けゲームアプリの企画・開発・運営を行うG2Studios株式会社。ゲームの利用状況を分析し、ユーザーデータやイベントが盛り上がる時間帯などの分析結果を、サービス展開やイベントの企画立案に活用していました。しかし、1億件を超える大量のデータ収集でエンジニアに負担がかかっていたり、プロジェクト毎に異なるフォーマットのデータが登録されるため、分析処理の共通化が困難になるなどの課題を抱えていました。そこで、ASTERIA Warpを導入しわずか2ヶ月でBI基盤を構築。シームレスなデータ連携によりデータ分析の工数を大幅に削減することに成功しました。また、データを柔軟に視覚化・分析することで、今後の効果的なサービス展開や、イベントなどの企画立案に大きく貢献しています。
事例の詳細はこちらからご覧ください。
データ活用とは、企業にあるさまざまなデータを日々の業務の中で継続的に集約し活用していくことです。リアルタイムで現状が把握できるようになり、売り上げへの貢献や新しい企業戦略の提案などに役立ちます。ビジネスでデータ活用をするためには、企業内に散らばっているさまざまデータを信頼できる形で集め、誰もが活用しやすい形に分析することが大切です。
ASTERIA Warpでは社内に散らばっているデータを連携することで、必要な時に必要なデータを、適切な形で共有し有効に活用することができます。また、ノーコードでの開発が可能なため、社内でシステム開発のメンバーがいない、工数があまり割けない場合にも、簡単に開発を行うことが出来ます。
今までのデータ活用事例は下記ページからご確認いただけます。様々な業界・課題に合わせてデータの連携・活用を行っていますので、是非実際の活用事例をご覧いただき、自社のデータ活用のご参考にしてください。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。