住友林業株式会社
情報システム部 企画グループ マネージャー
三浦 晃嗣氏
2007年、住友林業は会計システムのリプレースに着手した。最大の目的は、IFRSへの対応だ。「それも目先の対応だけでは意味がありません。毎年のように発生するコンバージェンス※1、ビジネスに関連するあらゆる法体制の変化に、今後も対応し続けなければならない」と、住友林業情報システム部 企画グループのマネージャー三浦 晃嗣氏は語る。対応のために必要とされた新会計システムにはふたつの要件が挙げられた。ひとつ目は、法制度への柔軟な対応が可能なシステムにすることだった。法対応の観点から見ると、海外製のシステムでは日本の法制度への対応が遅れる場合や、個別に対応しなければならないこともあるため、国産製品の中から各ジャンルのトップベンダ製品を組み合わせ、ベスト・オブ・ブリードをコンセプトにソリューションを構築することになった。さらに、ふたつ目の要件として会計システムと周辺システムの連携において、既存システムの変更を最小限にとどめることが挙げられた。それまでは個別にデータ連携に対応していたが、毎回開発コストがかかるだけではなく、システム更改の度にデータ連携の仕組みを把握しなおさなければならない。会計システムと連携している社内システムは全部で約10種類あり、毎月100万件近いデータが処理されるため、会計システムと周辺システムとのデータ連携を集約し、一元的に管理できる仕組みを構築したいと考えていた。
また、システム完成後は住友林業の関連会社である住友林業情報システム株式会社で維持、運用するため、開発当事者でなくても理解しやすい仕組みであることが求められた。
住友林業情報システム株式会社 システム開発部
第三グループ チーフ 石井 秀和氏
住友林業が示した要件に対して株式会社日立情報システムズ(現:株式会社日立システムズ)が提案したのが、国内に高いシェアを持つ会計ソフトSuperStream※2とASTERIA Warpを組み合わせた、まさにベスト・オブ・ブリードなソリューションだった。
周辺システムと新会計システムとのデータ連携はデータ形式の差異を吸収するため、すべてASTERIA Warpを介して行なわれる。月次処理では数十万件もの大量データを一括処理する必要があったため、日立情報システムズでは事前に大量データ処理のテストを実施、想定される処理量でも問題なく動作することを確認していた。また、住友林業情報システム株式会社システム開発部 第三グループのチーフである石井 秀和氏はASTERIA Warpのハンズオンセミナーに参加し、「直感的に理解できるアイコンを使って視覚的に開発できるので、コーディングに伴う記述ミスとも無縁で、必要な機能を簡単に作れる」と確信したという。
実際のシステム構築は2009年4月にスタート、ASTERIA Warpを活用したデータ移行を経て、同年11月に本格稼働を迎えている。ASTERIA Warpは既存の周辺システムとの連携のほか、会計に関連する個別機能群との連携にも活用されたため、開発されたASTERIA Warpフローの数は70インターフェースにも上った。しかし従来のシステムでは会計システムと周辺システムとの仕訳インターフェースが定型化されていたため、これを利用した開発手法を選択。ベースとなるASTERIA Warpフローのテンプレートを作成し、必要個所を変更することで類似インターフェースを効率よく開発できた。「ASTERIA Warpの特性を生かした開発手法を採用し、開発期間を短縮できた」と、三浦氏はASTERIA Warpの拡張性と柔軟性に満足している。
新システムでは毎月約100万件のデータが、周辺システムから新会計システムへ送られる。データ形式の変換が必要なものはすべてASTERIA Warpを介して行われており、連携の仕組みを統一するという当初の目的も達成できた。今後は、周辺システムが更新されるたびに、どのシステムがデータ変換を行なっているのかと悩むこともない。各システム側でデータ変換を行なわないため、開発もシンプルになることが期待されており、「これまでよりスムーズ、かつスピーディに更新、拡張できるシステムへと進化した」と、三浦氏も評価している。
新会計システムの導入に伴い初めて触れたASTERIA Warpだが、「もっと多くのことに活用できるのではないかと確信しています。ASTERIA Warpを活かせるシーンを探して、より広範囲に有効活用していきたい」と石井氏の期待は大きい。「大きなシステムだけではなく、伝票処理など自動化できる定型処理は業務の中にたくさんあります。そうした部分でも、ASTERIA Warpを使いこなしていきたい」と、三浦氏も期待を語る。ASTERIA Warpが住友林業のビジネスに貢献するシーンは、まだこれから増えていきそうだ。
住友林業様システム構成図
※1:コンバージェンスとは各国の会計基準とIFRSとの差異をなくすための修正内容のこと。
※2:SuperStreamはエス・エス・ジェイ株式会社が開発、販売する管理会計製品です。
企業名 | 住友林業株式会社 |
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URL | http://sfc.jp/ |
所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目3番2号 経団連会館 |
会社概要 | 1691年(元禄4年)の愛媛県別子銅山開坑に伴う銅山備林の経営をルーツとする住友林業。木を植え、森をはぐくみ続ける山林事業を礎に、サステナブルな事業を展開する。「木を活かし、住生活に関するあらゆるサービスを通じて、豊かな社会に貢献する」ことを理念として掲げ、植林事業、木材・建材事業、住宅事業と、その活躍の舞台は世界に広がっている。 |
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