[オリックス不動産株式会社]
「京都水族館」「すみだ水族館」を運営するオリックス不動産株式会社。水族館事業の拡大を目指す同社は、両施設のデータを集約管理できるITシステムの構築を目指した。そこで、パッケージ間のデータ連携ツールとして採用されているのがアステリアの「ASTERIA Warp」だ。両施設のデータベースを自動連携し、マスターの一元化を実現しているほか、財務会計システムへの効率的な情報入力を実現。将来的には、高度な分析基盤としても応用できるデータの管理体制を構築している。
オリックス不動産株式会社
運営事業本部
水族館事業部
室 千穂子氏
2012年、国内で2つの水族館が立て続けにオープンした。京都市下京区の「京都水族館」、そして東京都墨田区の「すみだ水族館」だ。水の透明度を保ちやすく、環境にもやさしい人工海水を使用。遊びながら学べる体験プログラムを開催するといった趣向を凝らした工夫が評判を呼び、連日、多くの来館者で賑わっている。
両水族館の管理・運営を担うオリックス不動産は、今後、水族館事業をさらに拡大していくことを考えている。その足がかりとするためにも、両水族館の効率的な管理・運営をサポートし、事業の成長に貢献できる経営基盤の構築が必須と考えていた。
「具体的には、スピーディに来館者を案内するためのチケット発券システムをはじめ、ショップの物販、カフェの飲食、購買や財務会計などを支える各システムを導入。『水族館業務全体のシステム化』を実現した上で、蓄積する多様な情報を分析し、マーケティングなどに活かそうと考えたのです」とオリックス不動産の室 千穂子氏は言う。
水族館運営システムの構築に当たり、同社が掲げた要件は大きく2つ。
1つめは、導入する各システムには、パッケージ製品を採用すること。例えば、チケット発券システムにトラブルが発生すれば、最悪の場合、入館を一時停止せざるを得ないことも考えられる。それに対し、同社は実績のあるパッケージ製品を利用することで、安定したシステムを実現しようと考えたのだ。もちろん、パッケージ採用の背景には、開発期間とコストを削減したいという狙いもあった。
2つめは、各システムを有機的に連携させることである。それぞれのシステムがばらばらに稼働している場合、チケット発券システムの売上データを財務会計システムに手作業で入力したり、多様な情報を各システムに二重に入力する必要があるなど、効率的な館の運営が困難となる。
また、両水族館の財務会計情報を一元管理したり、蓄積した情報を分析し、経営に活かすためには、京都水族館とすみだ水族館のデータベースのマスターが一致していることが望ましい。したがって、マスターの更新などが発生した場合にも、二重の作業を必要とせず、自動的に同期処理を実行できる環境を求めていたのである。
こうした要件のもと、同社は複数のベンダーの提案を比較。最終的に、パナソニックインフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)の提案を採用した。
オリックス不動産の要望に基づき、パナソニックISは、各システムに、それぞれの分野で豊富な実績を持つパッケージ製品を採用した。チケット発券システム、物販用のPOSシステム、カフェの統合売り上げ管理システムはオンプレミス型のシステムを活用し、財務会計システムには、クラウドサービスを採用している。
その上で、各パッケージソフトを連携するために採用したのがEAIツール市場でシェアNo.1※を誇るアステリアの「ASTERIA Warp」だ。
「当社では、これまで200件以上のシステム構築で、ASTERIA Warpを採用してきました。安定性、使いやすさを高く評価しており、安心して利用できることが決め手となりました」とパナソニックISの横地 朋洋氏は語る。
まず、ASTERIA Warpは、京都水族館とすみだ水族館のチケット発券システム、物販用のPOSシステム、カフェの統合売上管理システムのデータベースを連携。マスターの自動同期を実現している。「これらのパッケージソフトは、それぞれローカルにデータベースを持つように作られています。そのままでは、例えば『券種』を追加したり、更新した場合に、手動で変更しなければなりません。そこで、ASTERIA Warpを介してデータベースを連携させ、京都水族館を軸に両水族館のマスターを常に同期させるようにしています」(横地氏)。
加えて、クラウドサービスの財務会計システムへの情報入力においても、ASTERIA Warpは業務の効率化に大いに貢献している。具体的には、両館の日々の売上データなどをシステムから集約・変換し、CSVファイルとして出力。それを各館の担当者がSaaS型の財務会計システムに送信することで、データを整理整頓する手間を削減し、容易に両館の一元的な情報管理を実現しているのである。
2つの水族館をまたぐシステムは、わずか9カ月間で完成。いずれも実績あるパッケージソフトをASTERIA Warpで連携させたことで、高品質なシステムを、短期間で構築することができたという。
オープン後は両水族館とも、予想を上回る人気を博している。例えば、京都水族館では、オープンから約8カ月後の2012年11月5日に年間目標入場者数の200万人を突破。システム上では、日々、膨大な量のデータ連携処理が行われているが、ASTERIA Warpは問題なく、それを実行している。
今後、オリックス不動産では、さらなる情報活用に向け、BIツールの導入を検討中だ。
「年代別来場者数などは、両水族館がどのようなお客様にお越しいただいているのか、事業方針そのものを考える重要なデータとなります。また京都水族館では、全長約90cmもあるオオサンショウウオのぬいぐるみが人気なのですが、地域と人気商品の関連もあるかもしれません。こうした情報は、今後のマーケティングに欠かせない貴重なデータとなります。イベントの企画などに活用したいですね」と室氏は言う。他にも、天候や気温と来館者数の相関、雑誌掲載クーポンの利用状況、広告掲載やキャンペーンの成果分析などを行い、それを水族館経営に役立てることもできる。
複数のパッケージを組み合わせ、あたかも1つのシステムのように有機的に連携させることに成功したオリックス不動産。このシステムを基盤に、より高度な情報活用、そして、水族館事業のさらなる成長を目指す構えだ。
※ 株式会社テクノ・システム・リサーチ『2010-2011年 ソフトウェアマーケティング総覧』による
システム構成図
東京都港区芝2-14-5
URL:http://www.orix-realestate.co.jp/
オリックスグループの一員として不動産関連事業を担う。マンション・一戸建て住宅の「住宅開発事業」から、オフィス・住宅・商業施設・物流施設などの「不動産投資事業」、ホテル・旅館・研修施設・水族館などの「運営事業」まで、幅広い事業を展開している。
『誰でも、もっと ASTERIA Warp』をコンセプトに、専門的な技術がなくても利用できる データ連携の基盤製品で、企業内の新旧さまざまなシステムやクラウド上のデータをスムーズに連携し、コストの削減や業務の効率化をサポートします。
業種や規模、用途を問わずさまざまなシーンでお使いいただけ、ノーコードにより非エンジニアの方でも手軽にデータ連携がはじめられます。
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