「The best way to predict the future is to invent it」(未来を予想する最良の方法はそれを創ることだ)という私の座右の銘でもあるAlan Kayの言葉から始まった、AWS Summit 2013の基調講演。規模は昨年の2倍、基調講演は人寄せの有名人講演があるわけでもないのに椅子に全く空きが無く埋まった人々、まさにクラウド(crowd)です(笑)。日本でのクラウドへの関心、浸透の加速を目の当たりにした気がします。
インフォテリアも2008年からAWSを使っています。2009年にスタートした「Handbook」のStandard Editionは最初からAWS上で稼働しています。2010年出荷の、「ASTERIA WARP 4.5」では、Amazon EC2上でも稼働するようになりました。
あれから数年、クラウドはもう単にハードやネットワークを所有しないというだけでなく、クラウドならではのサービスを提供するステージに来ています。例えば、最新の「ASTERIA WARP 4.7」で対応したAmazon Elastic MapReduce (EMR)では、膨大なデータの分析を必要な時だけスーパーコンピュータに匹敵する処理能力で分析することを可能にします。また、早速「ASTERIA」での対応を表明したAmazon Redshiftでは、圧倒的な低コストでDWHを構築できます。企業アプリケーションの部品(Building Blocks)が次々と提供され始めていて、「ASTERIA」を使って簡単に組み合わせることで、データ中心のアプリケーション開発が出来る未来の端緒が垣間見えます。
講演で、東京海上日動火災保険の理事IT企画部長の稲葉さんは「AWSは金融システムに使える」と断言されました。協和発酵キリンの情報システム部長の篠田さんは「コストダウンだけでなく、システム開発のスピードアップがメリット」と強調されました。こういう生の声を聞くと、「クラウドは本当に大丈夫か?」と言っていたのは、もう過去のことだと実感します。
このように言うと、AWSのステマように取られるかもしれませんが(笑)、私はAWSの宣伝をしたい訳ではなく、まだ二の足を踏まれているユーザー、ベンダーの方々に一日も早く真剣にクラウドに取り組んでいただきたいのです。それは、ベンダーとしてものを売りたいからではなく、コストだけでないクラウドの価値が顕在化してきているからです。もう企業システムのプラットフォームの交代が次々に起こるのは間違いないところまで来ているからです。そして、いわゆる国産クラウドベンダーにもどんどんサービスを強化し頑張っていただきたいのです。「Handbook」も、国産クラウドに載せて提供しているものもありますし、「ASTERIA」はBYOL (Bring Your Own License)の形で、どこのクラウドにも載せて使っていただくことができます。
日本でのクラウド利用もどんどん進み、事例も増えて来て、AWS Summitは大盛況です。しかし、社会全体からみるとまだクラウド採用は少数派。私は、クラウドの適用が企業のアジリティを上げ競争力を高めると確信していますし、実際、東急ハンズの長谷川さんの話も、ミサワホームの宮本さんの話もまさにそれを体現した事例でした。つまり、これから先クラウド化が遅れることは、企業の相対的競争力低下に繋がるのです。私たちインフォテリアも、AWSをはじめとする各社クラウドベンダーと共に「未来を創る」仕事を行うことで、企業の国際競争力を高めていくことが出来ると確信してクラウド対応、サポートを積極的に進めています。