いま経済界では「社外取締役」の義務化が取り沙汰されていますが、先週、インフォテリアの定時株主総会では、社外取締役が2名選任されました。取締役会は「会社の重要な意思決定と業務執行の監督を行う」役目を負っています。そのメンバーのなかでも社外取締役は、社内のしがらみや利害関係に縛られず役目を適切に果たし企業ガバナンスの強化を行う事を期待されています。
日本の企業は、取締役を出世の階段として扱うために取締役の職務が単に「偉い人」であることも少なくなかったのですが、最近では取締役本来の役割が少しずつ重視されてきているようです。その結果、社外取締役の設置の義務化が議論されていますが、これに反対している企業・団体も少なくありません。
一方、インフォテリアでは、創業時から一貫して社外取締役を置いています。これは、上記の社外取締役の役目、効果に加えて、ベンチャー企業である当社が、新たにチャレンジ(リスクテイク)していく領域に対して経験・知見を持った方に、経営判断・監督に参加していただくためです。
この考えから、インフォテリアでは創業からこれまで、以下のような視点で社外取締役を選んでいます。
<創業期のチャレンジ>
企業としての基礎体力をつけること
→財務・ソフトウェア企業経営に経験・知見のある方
(村口和孝氏、菊池三郎氏)
<上場前後のチャレンジ>
国内における自社製品による確固たる事業基盤を作ること
→国内の情報サービス事業、ネット事業にに経験・知見のある方
(浜田正博氏、千田峰雄氏、樋口理氏)
<現在のチャレンジ>
新市場への投資・展開を成功させること
→海外市場での事業や投資に経験・知見のある方
(宋文洲氏、磯崎哲也氏)
そして今回は、日本を代表する製造業においてEurope統括子会社CEOやAsia Pacific統括子会社社長を歴任された齋藤周三氏と、現在シリコンバレーのベンチャーキャピタルのCEO、Anis Uzzaman氏を推薦し、選任されました。
このように、インフォテリアでは社外取締役に大きな意義を見いだし、創業来一貫して社外取締役を置いています。また、知見・経験に加えて重視していることは、取締役会で活発に発言してくださる方ということです。そうでなければ、社外取締役が形式化してしまうからです。実際、インフォテリアの取締役会は創業時から社外取締役の方が活発に発言いただいてますし、社外取締役からの議案提出や社外取締役の意見で否決される議案もあります。
社外取締役の導入に反対する意見の中に、「外部を入れると意思決定が遅くなる」という意見がありますが、社外取締役が過半数を占める米国の企業の方が意思決定が速いのは多くの人が認めるところと思います。また、「何もわからない人に判断に関わって欲しくない」という意見もありますが、インフォテリアの経験では、社外取締役の方が発せられる的を射ないような質問ですら、社外から見るとそう考えるのかという社内では気がつかない気づきとなり、より熟考することにもつながります。
社外取締役を「義務化」するとなると、形式化してしまいかねないので、私自身は企業の判断で良いとの考えですが、社外取締役には単にガバナンスを強めるだけでない、経営的なメリットもあるということを強調しておきたいのです。