ガートナー ジャパン株式会社から「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」が発表されました。今日は、この中身を見てみましょう。
ガートナーのプレスリリースでは、今回発表されたハイプ・サイクルに関する解説がなされていますが、このハイプ・サイクルは時系列でポジションの「動き」を見ることが大切です。
今回は、インフォテリアに関係のある「クラウド」「モバイル」「IoT」の3つの切り口で、2015年のハイプ・サイクルのポジションと比べてみました。
まず、クラウド関係技術です。
クラウド関連では、2016年版には5つの技術が取り上げられていますが、その中の1つは前年には無かった「IoTクラウド・プラットフォーム・サービス」です。これは、クラウドとIoTの両方に関係する技術ですが、現在「黎明期」に位置づけられており、これからAWS IoT、Azure IoT、さくらのIoTなどのクラウドプラットフォームが、大きく注目を浴びそうであることがわかります。また、面白いのは、ステージの進展において「追い越し」が起きていることです。つまりクラウドの中でも進化が早い技術、遅い技術があることが図で一目瞭然です。具体的には、「クラウドIaaS」と「(パブリック)クラウドコンピューティング」は「プライベート・クラウドコンピューティング」を追い越しており、2015年には最も先行してた「プライベート・クラウドコンピューティング」が追い抜かれたことがわかります。
次に、モバイル関連技術です。
モバイル関連技術は4つの技術が取り上げられていますが、ハイプ・サイクル上の幅広い位置に分布していて、モバイルそのものが幅広いインフラとなって来ていることがわかります。ここで注目すべきは、唯一の「黎明期」にある「モバイル・アプリケーション開発プラットフォーム」です。これは、従来のPCやサーバー向けアプリケーション開発のようにゴリゴリとプログラミングをしてアプリを開発するものではなく、現場や接続先(センサーなど)に合わせて簡単にアプリを開発・配布できるものです。インフォテリアが今年度中に提供を予定している「Hawking(コード名)」も、この分野にあたります。
最後に、IoT関連技術です。
IoT関連技術は、2016年版で5つの技術が取り上げられていますが、その全てがハイプ・サイクルの左1/3に存在し、全体的に新しい技術であることが一目でわかります。また、5つの技術のうち2つ「IoTセキュリティ」と「IoTクラウドプラットフォームサービス」が新たに登場したものです。今後はさらに、IoTの制御、連携、運用などの技術が黎明期に登場してくるのではないでしょうか。現在マスコミで大いに注目され「ピーク期」の頂点を過ぎたIoT(モノのインターネット)、これからの幻滅期にいかに地に足のついた開発を行っていくかが鍵となることが分かります。
世界的にも有名なこのガートナーのハイプ・サイクル。今回は2年間の比較で見ましたが、さらに長いスパンで「動き」を見るのもまた参考になります。あなたが携わっている技術、あなたが興味をもっている技術がどういう「動き」をしているのか。それを確認することで、メディアの報道やライバルの動きに踊らされることなく、これからを見据え、地に足のついた活動の支えになるでしょう。