月別アーカイブ: 2013年11月

It’s hot! in Jakarta

今日、ジャカルタが熱い!

といっても、赤道直下だからというわけではありません(笑)

「Startup Asia Jakarta 2013」という、スタートアップ/起業イベントに参加しています。インドネシアの首都での開催ですが、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、韓国、日本などアジア各国から1,000人以上の起業家、投資家、関係者が集結し、自社サービスのアピールあり、ベンチャーキャピタルとの交渉あり、ハッカソンあり、起業家同士のネットワーキングありと、熱気ムンムンのイベントです。

今回、私もスピーカーの1人として招待され、明日の「Discussion: Exit Strategies for Asian Startups: M&A and IPO」というパネルディスカッションで話します。私を誘ってくれたAnis Uzzamanからは「日本でゼロから始めてIPOした創業者」としての招待とのことでしたが、ゼロから始めてIPOした創業社長は他にもたくさんいます。私の友人だけでも英語を話せる創業社長は何人もいるので、他に適任がいるのではと言ったところ、英語ができても英語でディスカッションというのは辞退する人が多いのだそうです。

もう一つ、このイベントに参加していてあらためて実感することは、東南アジアの国々で若い人達の起業が拡がっていて、新しい事業が次々と興り、また投資家も世界から集まって実際に投資を開始していること。今回は、アジアの投資家だけでなく、アメリカ、ロシア、イギリスの投資家にも会いました。

言語の話にしても、投資の話にしても、やはり日本のスタートアップ界隈が、最近盛り上がってはきているものの、まだ国内に留まっている感覚を強くします。

ジャカルタは、インドネシア語が母国語です。アジア各国にも母国語があります。それでも、こうやって多くの人が集まって共通言語で情報交換をし意見を戦わせている。アジアの外の人達も引き寄せている。どうしても英語との関連性を抜きに語れません。

もっと英語が必要だという話をすると、すぐに「言語はツールで、問題は中身だ」という「正論」が飛び交います。その通りです。しかし、中身があっても言語がネックで行動できていない状況をみるとその正論も空しく響きます。

外国語が上手である必要はありません。でも喋りましょう。ヘタでも飛び込みましょう。行動しない人に「グローバル」という単語を使う資格はない!

そう感じさせる、熱気溢れる会場からの中継でした(笑)

メニュー誤表示問題と現場の力

阪急阪神ホテルズに端を発した、メニュー誤表示の問題はさらに広がりを見せています。各社の対策を聞くとほとんどが、チェック体制を厳しくするということで、中には専任の担当を置くというところもあります。

もちろん、問題を起こしてしまったのですから、「今後はちゃんとやります」だけでは済まず、しっかりとチェックのプロセスを入れる必要があるのですが、それでも、やはり根本は現場の意識を高め現場の力を上げることに尽きると考えます。

この話を耳にするにつけ、私の実家の両親が細々と続けている「平野農園」で起こったあるエピソードを思い出します。

平野農園は熊本県の田舎の三角(みすみ)町というところにあり、その町で穫れる「みすみみかん」は近県ではちょっと知られているブランドです。平野農園のインターネット販売は1996年の秋から始めました。お客様も徐々に増え、2000年頃には、みかんを発売してもあっという間に売り切れる状況になりました。

それもそのはず、私の実家の畑はトータルで1ヘクタール程度。つまり、正方形にするとたった100m×100mの広さしかないところに何種類ものみかんを植えているのですから、一つの品種の収穫量はたいしたことありません。出荷即日完売ということも珍しくなくなり、リピーターの方などが売り切れで買えなかった場合などは、クレームになったりもしていました。

そこで、私は親父に提案しました。「同じ『みすみみかん』なので隣近所の農家のみかんも売ってあげたらどうか?うちの畑と味はそう変わらないし、売り切れになりにくいからお客様も喜ばれるし、近所の人にもJA以外のルートが出来るのは歓迎のはず。」

親父は喜んで受け入れてくれると思っていたのですが、答えは、「それはやらない。」でした。驚いて理由をきくと「平野農園のみかんじゃないから」とのこと。「お客さんは平野農園のみかんと思って買っていただいているから他の農園のみかんは売れない。他の農園のみかんの木は自分が世話しているわけではないから責任が持てない。」ということでした。相変わらず『肥後もっこす』だなあと思いながらも:)、その責任感にあらためて感心し、提案した自分が恥ずかしくなりました。

そして、今回のメニュー誤表示問題です。すぐに、このエピソードを思い出しました。このエピソードと対比して感じることは、問題の原点は、チェック体制がなかったり緩かったりということではなく、直接携わっている責任者、担当者の意識と責任感があることがまず大事で、チェック体制を作ることが根本の解決策ではないということです。

また、チェック体制やチェックプロセスを新たに入れることの問題は、そこにコストがかかることです。そのコストは企業体の事業である以上、結果的に提供価格に転嫁されます。つまり、メニュー書いてあるとおりの内容が出てくるという「あたりまえ」のことに対して余計にコストを払わなければならなくなり、結局お客様にツケが回ってしまう。

チェックばかりしないと、まともに回らない会社の競争力が高まるわけがありません。経営者が最優先で取り組むべきは、さらなるチェック体制、チェックプロセスではなく、社員メンバーひとりひとりの責任感、意識を高める、つまり現場の力を高めていくということでしょう。現場の力は、仕事が速くできるとか、売上を上げられるということだけではなく、きちんとそれぞれの現場で責任をもった仕事ができることが原点なのです。

他山の石として。