シンガポールから帰国して、出がけにたまたま観たNHK朝の連続ドラマ「マッサン」。これまで観ていたわけではありませんが、日本から世界に通用するウイスキーを作ろうとするマッサンの姿が、今の私の活動に重なり、惹き込まれました。
「マッサン」今週のテーマは「虎穴に入らずんば虎児を得ず」。全くの偶然ですが今年の私のテーマと同じです。海外展開にあたり、日本に居て、戦いの現場から遠い安全な場所から指揮を執っているいるだけでは、「虎児」を得ることはできない。世界市場を相手にするために会社を創った以上、自らが「虎穴」に入らずしてどうするか!という考えで、検討に検討を重ねてシンガポールの地を選び、赴きました。
私がシンガポールに赴任するにあたり、多くの人から「インフォテリアは大丈夫か?」「日本の事業は大丈夫か?」「平野は大丈夫か?」と言われると予想していました。しかし、まず聞こえて来たのは賛同や礼賛の声ばかり。自分もハダカの王様になったか?と危機感を持ちましたが、すぐに、反対や悲観的意見も聞くようになったので逆に安心しました(笑)。
私の経営信条の一つに、「誰もが賛成することはやらない」というものがあります。誰もが賛成するようなことは、誰もが思いつき、かつリスクが低く、大企業の会議室でも決まるようなことです。新たな時代に向って大きく成長する源泉は、ハイリスク=ハイリターンです。だから、これまでもいくつものリスクをとってきてインフォテリアの今があります。
それでも「『虎穴に入らずんば〜』はわかったが、社長自身が入らなくても、誰かを使えばいいじゃないか」という意見もありました。
事業を進めていく上では、いろんな「虎穴」があります。そして、会社それぞれのプライオリティがあります。そのプライオリティに応じて誰が責任者として「虎穴」に入るのかを判断します。インフォテリアは、新時代に貢献するソフトウェアを世界中で提供するために創った会社です。これまでは、他社に倣って、現地採用者に任せるとか、責任者を送り込むといった「虎穴」への入り方をしていましたが、会社の中心テーマの「虎穴」に自らが入らなくてどうする!と考えを改めての赴任です。
虎穴に入らずんば虎児を得ずですが、虎穴に入ったから虎児を得られるわけでもありません。失うものだってあるでしょう。しかし、虎児が得られたときのその成果は、そのリスクテイクに見合う大きなものになると確信しています。