月別アーカイブ: 2018年6月

「中期経営計画2020」を発表

6月18日、インフォテリアの新たな中期経営計画を発表しました。

2018年度から2020年度までの3ヶ年計画。題して「中期経営計画2020」です。インフォテリアは今年創業20周年。「2020」には、「2020年度」という意味だけで無く、「これまでの20年」を踏まえた「これからの20年」の第一歩という意味も込めています。

その概要は、2020年度に売上収益50億円、営業利益10億円という計画です。売上収益については、海外売上50%、営業利益については、営業利益率20%という目標も同時に発表しました。

発表と同時に、インフォテリアの「イフラボ」でも説明会を実施し、YouTube ライブでも生放送しました。多くの方にご参加いただき誠にありがとうございました。

今回発表した大きな成長を実現するために、新技術のための研究開発チームの編成、新製品・サービスのマーケティング、そのための優秀な人材の採用などを積極的に行っていきます。それらの先行投資の結果、中期経営計画の初年度は前年比で増収にもかかわらず減益という状況となりますが、初年度での仕込みをもって、第2年度以降に大きく成長をしていく計画です。

これまで、インフォテリアの研究開発チームは開発中のものも含め製品毎のチーム構成になっていましたが、新しくAI/ML(人工知能)、IoT連携、ブロックチェーンの技術研究開発チームを立ち上げ、これらが全ての製品に必要な技術を提供することで、各製品の進化を早め、競争力を上げていきます。そして、エンタープライズ事業、ネットサービス事業、デザインサービス事業についてもこの中期経営計画においては毎年2桁の成長を目指しています。

ITの世界は大きく変わっていきます。しかも素早く。インフォテリアが世界市場の並み居る企業の中で勝ち進んでいくためには、社内外の投資が欠かせません。私は確信しています、「投資なくして成長なし」と。MicrosoftもGoogleもAmazonも自前主義に陥らず、積極的なM&Aで社外の技術や人を組み入れたことで今がありるのです。

そして、その投資を何処にするのかが極めて重要です。インフォテリアの投資領域は明確に絞りこんでいます。それが「4つのD」ーData, Device, Decentralized, Design。これは、これからの社会を大きくドライブしていく4つの要素ということもできます。他の日本企業で、ここまで明確に未来を見据えた投資領域の絞り込みをしている企業があるでしょうか?

新しい中期経営計画は、これからの20年の大きな成長のための第一歩であり、大事な道しるべです。その先のさらに大きな成長のために、私たちは中期経営計画の達成にコミットしています。

ブロックチェーンは改ざんされたのか?

先日、モナコインという仮想通貨で約1,000万円相当が、そしてBitcoin Goldという仮想通貨で約20億円相当が不正に引き出されたという報道がありました。そこで、ブロックチェーン推進協会(BCCC)では先週金曜日に、実際に何が起きたのかということとその技術的な解説を行う緊急説明会を行いました(写真)。ちなみに、これらの報道では「改ざんされないはずのブロックチェーンが改ざんされた」という解説がつけられているものがありましたが、まず結論からいうと、

ブロックチェーンは改ざんされていません。

今回のケースにおいても、ブロックチェーンはそのルール通りに正しく機能しており、当該交換所における取引確定に関する確認が不足していたということが今回の問題です。ですから、国内の交換所においても、ファイナリティー確認の回数(承認回数)を増やすという対応に出ているわけです。

問題は何だったかというと、以前から可能性を指摘されていた「51%攻撃」というものです。モナコインもBitcoin GoldもいずれもPoW(Proof of Work)という合意形成アルゴリズムを採用しており、確定前のブロックチェーンにおいて違いが生じた場合に、長いチェーンの方を採用するというルールになっています。

今回のケースでは、極めて大量のハッシュパワーをもつ悪意を持ったマイナー(採掘者)が、自らのコインを取引所に送金してさらに他の仮想通貨や法定通貨に交換した後に、その送金を含まない別のブロックを作りさらにそのハッシュパワーによって、より長いチェーンを作ったことで、モナコインやBitcoin Goldで定められたルールに則って、交換所に送られていない方のチェーンが採用された訳です。

よって、今回のアタックは「確定前」のブロックチェーンのデータの挙動を狙ったものであり、確定されたブロックチェーンが改ざんされたわけではないということです。

もちろん、これまでも「51%攻撃は事実上ありえない」とされてきたわけですから、今回の件は、仮想通貨界隈にとっては、大変な事件であることには変わりありません。しかし現実には、「51%攻撃は事実上ありえあい」というのは、十分にマイナーが多い仮想通貨のみに言えることです。たとえば、ビットコインであれば、51%以上のハッシュパワーを持つには今回盗まれたような金額とは桁違いの膨大な資金が必要であり、「現実的ではない」と言われて来ました。

しかし、昨今では、1000種類以上にも及ぶ仮想通貨が流通しており、有名な仮想通貨以外は総ハッシュパワーは桁違いに小さいわけです。ですから、有名な仮想通貨を採掘していたマイナーが、急遽あまり有名ではない仮想通貨にハッシュパワーを振り向けたとしたら、51%を超えるハッシュパワーを現実的に得ることが可能な状況となっています。

<結論>

  • ブロックチェーンが改ざんされたわけではない
  • 再発防止のためには、対処としては取引所の確定確認を十分に行う必要があり
  • (参加者が相対的に少ない)仮想通貨においてPoWだけでないファイナリティーを持つブロックチェーンの採用を検討する

もっと深く知りたいという方は、ぜひブロックチェーン推進協会の門を叩いてください。今回のような事件を含めて、ブロックチェーンの最新の話題や課題についてタイムリーに解説を行っています。