月別アーカイブ: 2017年4月

インフォテリアグループの新オフィス in シアトル

今日は、インフォテリアグループの新オフィスがあるシアトルに来ています。本日4月20日付けで、英国ロンドンに本社、米国シアトルに子会社があるThis Place社が正式にインフォテリアグループとなったからです。

シアトルは、私たちIT業界でいうと、MicrosoftやAmazonの本社のある場所として有名です。他の業界としては、StarbucksやBoeingの本社としても知られていますし、スポーツでは、イチローのいたSeattle Marinersが(日本では)有名ですね。

This Placeのシアトルオフィスはデザイン会社らしく、とても自由な雰囲気です(写真)。このオフィスは、私たちのスタッフだけでなく、クライアントの皆さんも一緒に働くというコラボレーションオフィスになっています。デザインとは、いまやイラスト、アイコンなどの「絵」だけを意味しません。デザイン思考という言葉にも象徴されるように、ビジネスのあらゆるところに、デザインの要素を取り込むことができるのです。

お客様とどのように一緒に仕事をするかもデザインの一つ。This Placeでは、お客様を自社オフィスに招いて、同じフロアで机を並べて仕事をしています。ミーティングをどのように行うかもデザインの一つ。This Placeでは、ミーティングルームもありますが、ソファースペースや、ホワイトボード壁の前などでいつでもミーティングができるようになっています。実際にミーティングルームより、そのような場所でのミーティング方が多いようです。

 

これから従来型の仕事がどんどんロボットやAIに任せられるようになり、人間はよりクリエイティブな仕事ができるようになります。その際に重要なことが、刺激のある、楽しい仕事であること。高い目標やハードルがあっても、それを強いモティべーションにできるチームがあること。これは、インフォテリアの中期計画のスローガンである「おもしろ おかしく」にも通じることですし、私が以前から推奨している「笑ってお仕事」にも通じることで、インフォテリアグループ全体に取り入れて行きたいことです。

インフォテリアは、今日から、日本、米国、中国、シンガポール、英国に拠点を持つ、ソフトウェア×デザインのグローバルカンパニーとなります。ビジネスのあらゆる面でデザインが重要になっていくこれからの時代。世の中に提供する成果物だけでなく、私たち自身もソフトウェア×デザインを実践し成果を出すチームとして成長していくのです。

サクラサク – 駐日英国大使館にて


4月4日に英国のデザイン戦略コンサルティング企業This Place Limitedの買収について発表を英国大使館で行いました。英国大使館は、敷地内に多数の桜があり、ちょうど見頃。大使館の経済・投資担当ディレクターのChris Heffer氏からは、ソフトバンク、KDDIに続く、期待の日英のコラボレーションとして紹介され、私とThis PlaceのCEO Dusan Hamlinがプレゼンテーションを行いました。

This Placeは、2011年の創業からSamsonite, T-Mobile, Ahold Delhaizeなど大企業のデジタルデザインとその戦略を担って急成長をしており、現在はロンドンとシアトルに拠点を置いています。また、この内容が認められ、業績としても素晴らしい成果を挙げています(図)。

しかしなぜ、インフォテリアがデザイン企業を買収したのか?
インフォテリアの事業とどう関係があるのか?

その理由は、私たちはこれからのソフトウェアが「機能ファースト」ではなく「デザインファースト」の時代になると確信しているからです。この傾向はすでにコンシュマー向け製品では、如実に表れてきていますが、これから企業向けのソフトウェアでも、「デザインファースト」の止められない流れが始まり、その流れをリードしていきたいと考えているのです。

コンシュマー製品での好例は、iPhone。発売当初のものは「コピペ」といった基本機能すらなかったのに、その(総合的な)デザインによって世界中で受け入れられました。これまで、企業向けソフトウェアは、機能のマル(○)バツ(×)表が重視されていましたが、そうではなく、UI/UX、機能のバランス、使い勝手など総合的なデザインが重要になります。

インフォテリアでは、中期経営計画において、これからのソフトウェアのトレンドとして「3つのD」を重要視していると発表していました。これまでは「Design」をあえて秘していましたが、晴れてこれを加えることができ、「4つのD」となります。

デザインが重要になってくるのは、ソフトウェアにとどまりません。例えば、米国では下記のように、いくつもの未来志向の会社がデザイン会社を買収しています(時系列順)。大きなデザイン会社が小さなデザイン会社を買うというのではなく、畑違いの企業がデザイン会社を買収しているのです。その理由は、「デザイン」がビジネス戦略の核となる時代となってくるからです。

・米Facebookが「Hot Studio」を買収
・米Capital Oneが「Adaptive Path」を買収
・米McKinsey & Companyが「LUNAR」を買収
・米Accentureが「Fjord」を買収

インフォテリアは以前から、社内にデザインチームを持って、ソフトウェアのデザイン(UI/UXだけでなく)に注力してきましたが、やはりそこには限界がありました。そこで、社外でプロフェッショナルを探し、実際に一緒に仕事をしてみて、その結果として、未来を一緒に創っていくプロフェッショナルな仲間を見つけたのです。

実際に仕事をした結果の一つが「Tristan」(英語圏製品名「Handbooks」)です。Tristanは、現在提供中の「Handbook」をベースにThisPlaceがUI/UXおよび機能デザインを監修した製品で、すでに英語圏市場ではAppStoreで提供を開始しています。「Handbook」は、日本のユーザーの皆様の要望に応じてどんどんと機能を強化し成長してきましたが、「Tristan」は、機能もUIもあえてそぎ落とし、洗練しているのが特徴です。「Handbook」よりも機能が少なく、機能的な非互換があるため日本市場ではまだ提供していませんが、日本でもそう遠くない将来に提供開始できるでしょう。

This Placeは、デジタルデザインとその戦略のプロフェッショナル集団というだけでなく、事業としても高収益で素晴らしい成績を収めている企業であり、インフォテリアが目指す世界戦略の一歩大きくすすめる買収でもあるのです。