月別アーカイブ: 2016年12月

ブロックチェーン大学校、修了者が100名を突破!

一般社団法人ブロックチェーン推進協会(略称:BCCC)が、今年8月に「ブロックチェーン大学校」をスタートしてから、その修了者が100名を超えました。

同じ今年8月には、ロイターが日本のブロックチェーン技術者不足を指摘していました。それから修了者が100名を超えたと言っても、データベース技術者やJava技術者などに比べると2桁も3桁も少ない数字です。これから社会へのブロックチェーンの幅広い普及を考えると、ブロックチェーン技術者はまだまだ圧倒的に足りないと言えますし、現に、AI等で無くなる職業が増えるなかブロックチェーン技術者が仕事として有望であるという記事も出始めています。

ところで、「ブロックチェーン技術者」という定義について誤解を受けがちなことがあるのでクリアにしておきましょう。一般的に圧倒的な不足していると言われているブロックチェーン技術者とは、ブロックチェーンそのものを開発することのできる技術者ではなく、ブロックチェーンを使うことができ、適切な実装ができる技術者のことです。「データベース技術者」がデータベースそのものを開発する技術者を指さないこと、「Java技術者」がJavaそのものを開発する技術者を指さないのと同じです。定義がわかれば、データベース技術者やJava技術者の数に対して、100名という数字がいかに小さな数字かということがわかるでしょう。

では、ブロックチェーン技術者を育てるにはどうしたら良いのか。国内では、まだ体系立てた学習のカリキュラムは、BCCCの「ブロックチェーン大学校」しかありません。ブロックチェーンの普及を推進する団体としては、他にもブロックチェーンの教育が始まることを願っていますが、現在のところまだ1つです。

「ブロックチェーン大学校」では、現在ブロックチェーン技術の基礎を固めるための実習を含めた、2ヶ月間8回にわたる講座を実施しています。ブロックチェーンの起源であるビットコインのブロックチェーンを題材に、その基礎について体系立てた学習を行います。すでに2期を修了し、2017年1月開講の第3期の募集も開始しています。受講のためには、BCCCへの加盟が必要ですが、そのハードルは高くありません。

BCCCそのものは、本日現在で加盟社数が109社となりました。最近では、三井住友海上火災保険、あおぞら銀行、阿波銀行などの金融機関に加えて、丸紅、ぐるなび、日本NCRなど幅広い業界からの加盟が加速し、ブロックチェーン技術のニーズの広がりを示しています。フィンテックやブロックチェーン関連の世界は、めまぐるしいスピードで動いている中、国内の動きが遅れをとらないよう、BCCCでは新たなメンバーのパワーを加え活動をより活発化していきます。

Horasis Asia Meetingに参加

今週日曜日から月曜日にかけて、タイの首都バンコクで開催された、Horasis Asia Meetingに参加して来ました。Horasisとは、スイスに本部を置く世界的なシンクタンクで、このミーティングは、「新興国版のWorld Economic Forum」(NY Times)とも言われています。

Invitation Only(招待された人のみ)で構成されるこの会に、今回パネリストとして参加しました。先日開催されたEconomist誌のJapan Summitに引き続き、全編英語のパネルディスカッションです。そのテーマは「Rebooting Asian Finance」。私以外の7人のパネラー(下記)は金融セクターの方々だったので、始まる前はアウェー感を持っていて、「それでも技術がアジアの金融の発展に貢献することを話そう」と肩に力を入れていました。しかし、いざパネルが始まってみると、話題はいきなりフィンテック(FinTech)に。

私が発言しようと考えていた「インフラが整っていないからこそ新しい技術を導入しやすい」だとか「ブロックチェーンの導入で先進国より先行するすることができる」と言ったポイントも他のパネリストから挙がり、徐々に「アウェー感」は吹き飛び、リラックスして議論に参加することができました。

総勢8人のパネリストに90分という時間配分だったので、「十分な議論が出来ないな」と考えていたのですが、ChiarのWarren Luke氏の配慮で、自己紹介はスタート前に済ませていきなり議論に入ったことで、下記のように幅広い話題で楽しく議論ができました。

– トランプ勝利のインパクト
– TPPと貿易政策
– 企業会計の透明性と会計基準
– 新興国のアドバンテージ
– フィンテック、技術の貢献、ブロックチェーン
– レギュレータへの提言

ディスカッションの最後に、議論を踏まえてレギュレータへの提言を各パネラーが個別に挙げました。パネル全体で一つにまとめるところまでは踏み込めませんでしたが、私が挙げたデジタライザーションを進めアドバンテージを取ること、技術を活用して企業会計の透明性を上げることなどについては、パネラーの皆さんの賛同を得ることができました。

そして、夜行便で火曜日の早朝には東京に戻り、朝9時から普通に仕事ができます。これが、米国やヨーロッパだとそうは行きません。平日1日を費やすだけでこのような密度の濃いミーティングやディスカッションに参加できるのは、東南アジアの大きなメリットだと改めて感じました。

今日から「日経アジア300指数」もスタートし、日本においても存在感を増すアジア経済。これからも大きな成長が期待できるアジアの国々や人々ともっと交わっていきたいですね。

<チェア>
• Warren Luke, Chairman, Hawaii National Bank, USA

<パネリスト>
• Gaurav Chopra, Founder, Indialends, India
• David Do, Chief Executive Officer, Vietnam Investments Group, Vietnam
• Pina Hirano, Founder and Chief Executive Officer, Infoteria, Singapore /Japan
• Motoya Kitamura, Partner, ROC Partners, Japan
• Aaron H. Kwon, Chief Executive Officer, Summit International Capital, Korea
• Balaji Swaminathan, President International, Westpac International, Singapore
• Riku Sugie, President, Shinsei Financial, Japan
• Shin Hyun Uk, Founder, Popfunding, Korea