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BCCC – なぜブロックチェーン推進協会を作ったのか?

4月25日、ブロックチェーン推進協会が発足し、私はその理事長に着任しました。

同時に開催した記者会見でも訊かれましたし、その後もよく質問されるのが「なぜ、ブロックチェーン推進協会を作ったのですか?」ということです。もちろん、個別の企業でもブロックチェーンは開発していますし、推進をしています。

それでも、私たちがブロックチェーン推進協会を作った出発点は「国内のブロックチェーン技術開発と実証実験は世界に対して遅れを取っていないにもかかわらず、その実績や技術情報が共有されていないため適用領域が未だごく一部に留まっている。」という問題意識です。このような問題の解決には個々の企業の努力では限界があり、企業連合で取り組んだ方が効果的であると考えました。

一部では「日本のブロックチェーン技術は欧米に比べて大きく遅れを取っている」という見解がありますが、技術そのものが遅れを取っているのではなく、適用領域や、適用する人たちの理解や認識や適用が遅れを取っているのです。ブロックチェーンは大きな注目を浴び日々開発が進んでいる技術ですから、1年も前の「事実」ですら、out of dateになっていることは少なくありません。つまり、ネットで情報を検索してもその情報は、いまや正しくないことすらあるわけです。

このような状況を打開し、国内におけるブロックチェーンの健全な普及と発展を目指して、競合関係を超えて、業界を超えて集まる組織がブロックチェーン推進協会です。ブロックチェーン推進協会では、以下の5つの狙いをもとに活動を行う計画です。

・ブロックチェーンに関する最新情報の共有
・ブロックチェーンの普及啓発
・ブロックチェーンの金融と金融以外の領域への適用拡大
・国際的なブロックチェーン団体との連携
・ブロックチェーン関連領域への投資促進と支援

そして、当日の記者発表以降、もうひとつ何回も受ける質問があります。

それは、「なぜ、インフォテリアが理事長なのですか?」というものです。

インフォテリアはブロックチェーンそのものを開発していません。だからこの質問が来るわけですが、ブロックチェーンを開発していないからこそブロックチェーンニュートラルでいられる、ということが最大の理由です。

ブロックチェーン推進協会は、「ブロックチェーン ニュートラル」「プラットフォーム ニュートラル」という理念を掲げています。そのためには、特定のブロックチェーンを開発している企業がヘッドでは、実際の活動がニュートラルでもその理念を疑問視されかねません。ブロックチェーン推進協会では、mijinであれ、Ethriumであれ、Hyper Ledgerであれ様々なブロックチェーンの推進を行っていく考えです。また、プラットフォームに関しても、Azureであれ、さくらインターネットであれ、AWSであれ様々なクラウド上での普及を推進していく考えです。

さらに、ブロックチェーン推進協会では「ブロックチェーンに国境はない」と考えています。ですから、国内でのブロックチェーンの適用推進を行いながらも、ガラパゴス化するようなプロジェクトには異を唱えますし、特定の業界や団体に与するようなことも行いません。

そういう意味で34社の発起メンバーを見てもらうと、その多様性がわかると思います。発表後3日ですでに10社を超える入会申し込みをいただいており、発表会で私がお話しした6月下旬までに50社、年末までに100社の参加は、いずれも大きく前倒しで実現しそうです。

API時代に増すデータ連携ソフトの価値とは?

「APIが増えてくると、データ連携ソフトは要らなくなるのではないか?」とたまに聞かれることががあります。

考えてみましょう。

まず、なぜAPIを持つソフトウェアやサービスが増えてきているのか?

それは、単独のソフトウェアやサービスだけでビジネスやプロジェクトが完結することはまずなく、ソフトウェアやサービスを組み合わせて使うのが当たり前になってきているからです。30年ほど前に提唱されたERPは企業全体のリソースプランをその1つの閉じた中で行う理想を掲げ、そして普及してきましたが、現在ではERPベンダーですら外部とのデータ連携ツールを出していることからも、連携が必須であることがわかります。

では、次にAPIがあれば事足りるのか?

APIは、Application Programming Interfaceの略。その名前の通り、使うためにはプログラミングが必要です。最近の傾向では、RESTと呼ばれるWeb APIを使ったものが主流です。つまり、「HTTPプロトコルを使って、決められたURIに対して、GET, PUT, POST, DELETEなどのコマンドによって指示をし、データとしてはXMLやJSONを使う、ステートレスなクライアントサーバー間通信」です。

どうですか?あなたは使えますか?
あなたが分かったとしてもあなたの周りの人が使えると思いますか?

そう、ここにAPIとビジネス現場の大きなギャップがあるのです。ビジネスの現場では、クラウドの時代になり、他社や他部門やクラウド上に偏在する専門のサービスを組み合わせて使う必要が増しています。さらに、それはこれから急増していくにもかかわらず、それは上記のようなことがわかるようなエンジニアでしか使えないような形で接続口が提供されているだけ。

つまり、「プログラミングをせずに連携できる」ツールのニーズは無くなるどころかさらに高まるのです。

BitcoinのAPIにASTERIAで繋いだ例

つなぐ先、つまりデータソースはこれからさらに飛躍的に増えていきます。OracleやDB2といったメジャーなデータベース、SAPやExcelなどのメジャーなアプリケーションを繋いでいれば事足りる時代はもう終わります。

だから、ASTERIAは9年連続No.1という圧倒的なポジションを持ちながらも、データソースを増やしていくことに力をいれているのです。昨年スタートした「アダプター開発プログラム」もそうですし、先月発表した米国のソフトウェア企業CData社との共同出資による日本法人設立を含む戦略的提携もその一環です。

アダプター開発プログラムでは、インフォテリア以外の会社がどんどんASTERIAの専用アダプターを開発できるようになりました。CData社の「すべてのサービスをデータベースとして見ることができるようにする」というビジョンがインフォテリアの方向性ともぴったり合い、今回の提携を起点にさらに協業を深めていきます。

クラウド時代、デバイス時代に「ビジネスの現場」で必要な連携のツールが求められます。インフォテリアは、自前主義に陥らず、方向性を同じくする他のエキスパートとも一緒にエコシステムを構築して、この大きな流れとニーズに応えていきます。