日別アーカイブ: 2014年6月12日

VCファンドへの個人投資規制にパブリックコメント

あなたは、パブリックコメントをしたことありますか?

現在、政府では、様々な政策や法令改正にあたり、「パブリックコメント」という一般からの意見を聴く仕組みを導入しています。これは1994年に施行された行政手続法によって制度化されたもので、現在日本では特定の法令以外については必ずこの手続きを踏むことになっています。

私は、先日金融庁からパブリックコメントに付された、「適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案」に対して異議があり、本日パブリックコメントとして意見を提出しました。この案は、悪意のあるベンチャーキャピタル(VC)ファンドによる不適切な出資勧誘による被害を防止するための法令の改正案であって、目的には賛同します。しかし、その中身が問題なのです。

改正案では、VCファンドに出資できる個人は、以下のいずれかに該当する人に限定されます。

(1) ファンドの運用者、ファンドの運用者の役員および使用人
(2) 投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人

これでは、かつてインフォテリアのエンジェルになっていただいた方々や、インフォテリアのリードVCであった日本テクノロジーベンチャーパートナーズの出資者には多くのVCファンドへの出資不適格者が出てしまいます。

もちろん、インフォテリアは、これからVCから出資を受けることはないので、直接の影響はありません。しかし、この改正は日本の新規起業(スタートアップ)およびその資金調達を阻害しかねないと大いに懸念するのです。現在、日本では、スタートアップが増加傾向にありますが、創業期ベンチャーの投資は独立系VCがリードしているのが現状で、その独立系VCは特定の大きな財源を持たないので個人投資家からの出資も少なくありません。

このような中で、多くの個人投資家を閉め出してしまうことは、政府が成長戦略「第3の矢」で示している新規開業・起業の促進に反する結果となってしまいかねないわけです。このようなことから、私はパブリックコメントとして、改正案に対する問題点と提案を記載して提出しました。(詳細な内容はドキュメントイメージをクリック)

さて、このような話をすると、「パブリックコメントなんて形式だけで何か言っても意味が無い」と言われることがあります。

しかし、私は4年前に、未公開ベンチャー企業への個人の投資を大幅に規制する案が出たときにもパブリックコメントをしましたが、結果としてパブリックコメントに付された案からいくつもの点が変更されました。もちろん、私の意見は多くの意見が出された中のたった一つではありますが、意見をすることで変える事ができたのです。

「直接言っても変わらない」と聞こえないところで批判したり、評論したりするのではなく、直接意見を言い、行動しましょう。そうしなければ変わりません。これは、パブリックコメントだけではなく、仕事においても、プライベートにおいてもあてはまるのではないでしょうか。