日別アーカイブ: 2015年3月5日

生きているうちに「イスカンダル」に行くことになるとは!!

「イスカンダル」と言えば、「宇宙戦艦ヤマト」!私と同世代でなくてもそうでしょう。

「宇宙戦艦ヤマト」に出て来る「イスカンダル」は、地球から14万8千光年離れた大マゼラン星雲サンザー太陽系の第8番惑星です。地球と同じように生命体があり、宇宙戦艦ヤマトは、その星にあるというコスモクリーナーを求めて「♪銀河を離れ イスカンダルへ はるばるのぞむ〜」のでありました。

つまり私にとって、そして多分多くの日本人にとって「イスカンダル」とは、スクリーンの中の存在、自ら行ける場所ではない存在であったわけです。

しかし!正に今、私は「イスカンダル」に向う道中にいるのです。

しかも!宇宙戦艦ヤマトがワープを駆使しながら急いでさえ1年かかったという道中を、なんとこれから1時間で行くというのです。いくらインフォテリアが「ASTERIA WARP」を持っているからと言ってもリアルなワープは不可能です(笑)

と、書いている間に「イスカンダル」に着いてしまいました(笑)

シンガポールからバスで1時間弱。そう、ここはマレーシアの「イスカンダル」という場所(写真)です。「イスカンダル」は、マレーシア政府の肝いりで開発されている人工的な大都市です。2つの橋でシンガポールと陸続きになっています。この2つの橋から広がるように建設されていることからもわかる通り、土地の少ないシンガポールのエクステンション(拡張)という位置づけで開発されています。

地図でもわかる通り、「イスカンダル」は、シンガポールの国土(地図の下部の島全体)より広く、国境を挟んだ新たな経済圏となるべく積極的に開発されている場所です。既に、食品産業、ヘルスケア産業、教育機関などが誘致され動き始めています。残念ながら、イスカンダル地区開発局(IRDA)のプレゼンテーションの中には、日本企業は1つもありませんでした。(日本の商社がからんでいるプロジェクトはいくつもあるらしいのですが、個別に認識されるほどではないということです。)

今年は、アジア版EUと言われる「AEC」(ASEAN Economic Community)がスタートする年です。ASEANを構成する10ヶ国の域ないで「ヒト・モノ・カネ」がさらに自由化され1つの経済圏が生まれます。それに先行して、「イスカンダル」のように国境を挟んだ経済は既に東南アジアのあちこちで始まっています。例えば、ミャンマー南部⇔タイ中部⇔ラオス南部⇔ベトナム中部を結ぶ「東西経済回廊(East-West Economic Corridor)」や、バンコク⇔アランヤプラテート⇔プノンペン⇔ホーチミンを結ぶ「南部経済回廊(South Economic Corridor)」も発達してきています。日本は、海に囲まれているため、このような国を超えた躍動を感じることはありませんが、国が陸続きであることの違いとポテンシャルを改めて感じます。

「宇宙戦艦ヤマト」では、「イスカンダル」は悲しい最期を迎えますが、こちらの「イスカンダル」はASEANの成長やAECの発展に支えられ、新しい東南アジア経済圏をリードする存在になっていくことを期待して、地球の「イスカンダル」に足を踏み入れました。