日別アーカイブ: 2013年10月24日

モバイルよ、「幻滅期」を目指せ!

 

先週(10月15日)、ガートナージャパンから「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」が発表されました。

多くの企業、そして特にCIOやマーケターが着目するこのハイプ・サイクルですが、今年は、いよいよ「モバイル・コンピューティング」が、「ピーク期」の頂点となっています。この発表を元に「スマホやタブレットもいよいよ幻滅期に向かいます」というと、「まだまだ伸びますよ!」とか「平野さんの立場でその言い方は止めた方がいいんじゃないですか?」と言われることがあります。

このような場合、「幻滅期」の意味が取り違えられています。ハイプ・サイクルの「幻滅期」というのは、その前の「過度な期待」を現実に近づける期なのです。また、「ピーク期」がそうであるのと同じく、「幻滅期」も市場やユーザーの実態ではなく、主にマスコミやメディアの報道を指しています。

例えば、インフォテリアが、専業技術として始めたXMLという技術も綺麗にこのハイプサイクルを辿って来ました。2000年頃には各種メディアでXMLの特集がなされ、バラ色の将来が書かれていました。これが「ピーク期」です。しかし、2002年頃になると「XMLは万能ではない!」といった論調や、XMLの失敗事例などがあふれました。これが「幻滅期」です。しかし、幻滅期を経て、ようやくXMLは様々なソフトウェアや一般企業でも使われ始め、今や「安定期」へと入っているのです。

このように「幻滅期」には過度な期待が修正され、ネガティブな情報もどんどん出始めると、夢と現実のギャップが埋められます。そして、単に騒がれた段階から広いの普及の段階に繋がる重要な段階なのです。

今年ピーク期の頂点になった「モバイル・コンピューティング」、あとは下っていくだけです(笑)。「過度な期待」のピーク期のままでいるより、早く「幻滅期」に入り、ハイプ・サイクルを駆け抜ける。それが、モバイル・コンピューティングが普及し、タブレットやスマホが普通にビジネスに使われる時代が訪れるということなのです。