先日、カンボジアのクチャ村という農村にある「かものはしプロジェクト」のコミュニティファクトリー(工房)にお邪魔しました。「かものはしプロジェクト」は、カンボジアやインドでの少女の性的人身売買問題撲滅のために活動をしているNPOで、インフォテリアも10年近く支援を継続しています。
この工房では、クチャ村の若い女性(16歳〜20代前半)約60人がい草の手芸品を作るために楽しそうに働いていました。い草を染める人、い草を選別する人、靴のゴムを貼り付ける人、ミシンをかける人、皮を裁断する人などなど。
この工房は、村の女性達の自立支援のために運営されています。寄付などの支援無しに、サスティナブルなコミュニティを作るために、一人一人が手に職をつけ定常的な収入が得られるようにとの狙いです。少女の性的人身売買問題が起こる原因の一つとして「貧困」があり、定常的な収入が得られれば、多くの未成年を救うことができるからです。
工房には、託児所が併設されており、子供がいても働くことができます。食堂では、毎日無料の給食が出されて、働くために外食をする必要もありません。このように、仕事を与えて教育するだけでなく、村の女性達が、働きやすい環境も提供されています。
ここで作られる手芸品は、「I Cambodia」というブランドで、都市部で売られています。さらに最近は、バッグやアクセサリーの「SUSU」という新しいブランドも立ち上げ、かものはしプロジェクトからの卒業を狙っているそうです。
この工房のことは「かものはしプロジェクト」の報告書で知ってはいました。しかし、実際に現地を訪ね、このような異国の地で、人生を賭けて現地の社会問題に取り組み、そして大きな成果をあげている「かものはしプロジェクト」の皆さんの活動にあらためて胸を打たれました。
「I Cambodia」の手芸品をお土産として買い込み、「仕事があることが嬉しい」というと笑う彼女達に見送られながら工房を後にしました。