ノーベル賞と研究開発の大切さ

Nobel RandD green

日本中がノーベル賞受賞に湧いていて、その興奮はシンガポールにまで伝わってきます。

大村智博士、梶田隆章博士、本当におめでとうございます!

ひとりの日本人として、本当に嬉しいし、誇らしく思います。
新たな元気をいただき、ありがとうございます。

喜びの反面、一方で気になることがあります。
それは、日本がこれからもノーベル賞受賞者を輩出しつづけるのだろうかということです。

ノーベル賞は元来、かなり以前の研究が多くの今の人の役に立っている成果に対して与えられることが多いものです。実際、今回のノーベル賞受賞理由も2000年代に入る前の研究や開発です。大村智博士の場合、抗生物質「エバーメクチン」の発見が1979年、メルク社で薬剤「イベルメクチン」が開発され発売されたのが1981年。梶田隆章博士の場合、スーパーカミオカンデの建設開始が1991年、ニュートリノ振動確認の発表が1998年。昨年ノーベル賞受賞の青色発光ダイオードも同様に、1980年代に研究され、開発を経て実用化されたのは1993年です。

しかし、多くの方々が危惧されているように、国内では1990年代後半から大学でも民間でも研究開発において直接的な成果や収入を重視するようになり、長い時間かけてじっくり研究開発するようなことが減っていきました。大学では成果の出やすいテーマに予算が回され、民間では中央研究所が縮小され多くの研究員が収入に直結する部署に回されました。

研究開発には、多大な時間がかかるし、成就しないものも多く、つまり無駄も多いものです。研究開発に絶対はない。だから研究開発なのですが。しかし、それでも、或ることを探求するために、信じて、考えて、工夫し続ける。ハタから見たら、なかなか成果が見えない、進んでいるのかどうかさえわからない、いったい何やってるんだと言いたくなる。それが研究開発です。

言われたことを確立された方法でやるのであれば、成果も出やすいし、目の前の収入にも直結しやすいのは明らかです。しかしそれは、研究開発では無いし、ノーベル賞を受賞するような世界中に貢献するような成果に繋がることも難しいでしょう。失われた20年と言われていた間にどれだけの研究開発ができていたのか、その答えの一つがこれから先のノーベル賞ではないでしょうか?

企業における研究開発でも同じだと考えます。

日本のソフトウェア産業では、売り上げに紐付いていない研究開発費が売り上げの1%を切っている会社がほとんどです。ゼロの会社も珍しくありません。ですから、インフォテリアが、研究開発費を売り上げの1割近くも費やしている(2014年度実績)のを見ると奇異に見えるかもしれません。しかし、それが私たちの挑戦の形です。目の前のニーズに応えるだけでなく、世界に大きな貢献をしたい。だから、注文書をいただいたから作るのでなく、失敗があろうが、無駄があろうが、自らのテーマを研究し開発を続けるのです。


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