日別アーカイブ: 2015年11月19日

なぜ、ダイバーシティ採用を推進するのか?

11月12日、インフォテリアはLGBT※の方々を含むダイバーシティ採用の推進を発表しました。そして、テレビメディアや日本経済新聞をはじめ、IT分野以外も含めて多くの媒体に興味を持っていただきました。

特に今月から渋谷区で発行が始まったLGBTを対象とした「パートナーシップ証明書」を婚姻届と同等に扱う点などについて、一部で「先進的」と話題にしていただいていますが、実は私自身はむしろ遅れているという感覚すらあります。

というのも、私がインフォテリアを創業する前に10年以上勤務していたLotus Development Corporation(本社:米国マサチューセッツ州)では、今から24年前の1991年にHomosexsual couplesを通常の婚姻と同等に扱うということを始めていたからです。そして、Lotus社内でもおおっぴらにその方々の掲示板ができたり、イベントが行われたりしていました。 Homosexsualであることをカミングアウトしている人の中には凄腕エンジニアも、辣腕マネージャーもいました。そういう環境を経験してきたので、いま注目を浴びてきていることは社会的にも企業的にも「ようやく」という感覚があるのです。

多くの人は別性同士でカップルになりますが、様々な理由や本人の思いなどから多様なパートナー関係が実際に存在しています。「自分達がそうじゃないから」とマイノリティの人たちを「間違っている」と言わんばかりに排除するのは、まさに多様性を認めないことにほかなりません。ですので、インフォテリアはLGBTの方々に門戸を広く開くだけではなく、社内制度においてLGBTの方々のパートナーを通常の婚姻と同等に扱うことや、社員のLGBTをはじめとするダイバーシティへの理解を深めるための研修も行います。

もちろん、ダイバーシティはLGBTのことだけではありません。インフォテリアでは、これまでも国籍、性別、宗教などを問わずに採用をしています。東京本社オフィスでも約1割の社員が外国籍ですが、まだ不十分と考えています。なぜなら、世界を目指す企業において、多様なマーケットで受け入れられる製品開発、営業活動を行い、国際競争力を強化していくには、メンバーの多様化が不可欠だからです。シンガポールにいると、まさに世界中の様々な人たちがチームを組み、違う考えを尊重し合い、刺激し合い、新しい価値を生み出している現場に遭遇します。日本のモノタイプな考え方や心地よさに危機感を覚えるのです。

ところで、このようなことは、各社で粛々と進めればよいという意見もあるなか、今回あえて報道発表を行ったのには、2つ理由があります。ひとつは、私たちだけでなく、多くの企業が、同じようにダイバーシティを意識した経営をすることを「宣言」すれば、マジョリティ以外の人たちにとって働きやすく生きやすい社会づくりに貢献できると信じているということ。もうひとつは、企業にとっても、マイノリティの方々の能力を引き出すだけでなく、多様性からもたらされる刺激や組み合わせによって、生産性を上げ、イノベーションを促進することにつながると考えていること、です。

よりよい社会を作るための動きも、政府や自治体にお任せではなく、各企業でできることはまだまだ「そこにある」のではないでしょうか。


※LGBT = 女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、性同一性障害含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の頭文字を繋げたもの。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT