失敗を称えよう

失敗を称えよう
 シリコンバレーにおいて、失敗も経験として評価されるというのはよく知られた話です。事実、シリコンバレーで何社も起業したある友人も、1社目を倒産させた直後に始めた2社目の方がより多くの投資が集まりました。一方で、日本にも「失敗は成功の母」という言葉がありますが、それはチャレンジを評価するということではありません。
 新しい事にチャレンジする場合、それが成功するとは限りません。それが大きなチャレンジであれば、なおさら成功する確率は下がるでしょう。いまの日本社会では、減点法的評価が一般的で、失敗した場合のダメージが大きいため、何もやらない方がマシという結論に陥りやすい現実があります。チャレンジの芽があっても、石橋を叩いてプランを詰めているうちに時期を逸したり、結局NoGo(やらないこと)になってしまうということは少なくありません。こういったことが、グローバルな競争力の低下に繋がっていると私は感じています。


 インフォテリアは、経営理念の第一に「発想と挑戦」を挙げていて、ベンチャー精神を忘れず、新しいことを考え、チャレンジすることを旨としています。しかし、上場して5年が経ち、主力製品は6年連続市場シェアNo.1を続け、創業15周年を迎えようとするにあたって、守るものも多くなっています。守るものが多くなると、人は保守的になり、知らないうちにリスクを避ける意識が増大し、結果としてチャレンジが少なくなってしまいます。
 そこで、今月行った昨年度の振り返りと今年度のキックオフを行うAll Staff Meeting(全社員参加のミーティング)において、これまでの貢献を表彰する賞に加えて、新たに「失敗賞(チャレンジ賞)」を作り、昨年度に新たなチャレンジをしたけれども目論見通りに行かなかったプロジェクトを表彰しました。
 従来の感覚では、「失敗賞」なんて見せしめと感じるかもしれませんが、そうではありません。私は、前例のない新しい事にチャレンジしたこと、そして一生懸命にやったにもかかわらず目論見通りに行かなかったことが、そのプロジェクトを担当したメンバーにとって今後の糧になっているに違いないと確信するゆえの賞です。そして、全社員に失敗を怖れずチャレンジすることを会社として称えることをわかってもらうための賞です。
 もちろん、失敗するよりは成功するに越したことはありません。しかし、チャレンジ無くして成功無し。日本の将来に第三者的に分析や批評を与えるだけでは何も変わりません。自らが行動し、失敗を怖れず新しいチャレンジをする、しやすい環境を足下から作っていくことが大切だと考えています。
 ちなみに「失敗賞」には副賞があるのですが、皆が副賞を狙ってわざと失敗をすることの無いような仕組みにするのは私のチャレンジです(笑)。


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