日本で最初に成功した投資家は誰だ?

 さて、問題です。

 「日本で最初に成功したベンチャーキャピタリストは誰でしょう?」

 少し考えてみてください。その間に話を進めます。

 先日、青山学院大学大学院の授業に、外部講師を招いて特別講義を行いました。外部講師は、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)代表の村口和孝氏です。村口氏は、日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコで長年実績を積み、1998年に独立して個人でベンチャーキャピタルを立ち上げられました。


 その組織名からもわかるように、「テクノロジー」つまり技術をコアとしたベンチャーに投資をしようという意識を持って立ち上げられたベンチャーキャピタルです。インフォテリアも、創業期にNTVPからの出資を受け、成長してきました。

 そして私の受け持っている講義のテーマが「技術ベンチャー」ですから、この特別講義では、出資側から見た技術ベンチャーの話をしていただきました。そして、その話の中で出てきた質問が冒頭のものです。

 「日本で最初に成功したベンチャーキャピタリストは誰でしょう?」

 回答には、ちょっとした「とんち」が必要で、ヒントは「日本昔話」です。もう少し考えてみてください?

 講義では、年間IPO(新規株式上場)社数が50を割り込もうとする中、このような状況において、村口さんがベンチャーキャピタルとしてどのようなベンチャーを評価するのか、また評価しないのかについて、村口さん自身の考え方の源泉についての話が続きました。その中で、村口さんは、ベンチャーの成功の前提は、「正しい考えを持つこと」と強調されました。そして、「正しい考えを持つ」ための5つのポイントを指摘されました。

  1. Human-understandingと、毎日の対人誠実活動。
  2. 他人の経済活動に敬意を常に持ち、商品生産販売財務人事など事業経営の基本的なことをしっかり勉強して、日々全速で実行する。
  3. 不確実・相互依存的な環境の中で未来にまじめに投資し、正しい経営を続ける敬虔さを常に持つ。
  4. フィールドワークから常に学習し続けようとする、行動的な経験科学的精神(Inputを大きく)
  5. 不屈の忍耐力根性と、強い独立心、なすべきことをなせ。

 これらは、技術ベンチャーに限らず、企業経営において必要なことと思いますし、当たり前のことにも見えますが、現実には、当たり前のことが出来ていない人が多いのでしょう。

 このような話を含め、90分講義が続きました。30名以上の方に聴講いただき大変な好評でした。聴講いただいた方の一人がその内容をコンパクトにまとめていらっしゃるので紹介します。(英語で申し訳ありませんが、写真もふんだんにあるので雰囲気を感じていただけると思います。)

 VC Funding and Venture Management in a Time of Rapidly Dropping IPOs (NextWeb Japan)

さて、冒頭の問題。

 「日本で最初に成功したベンチャーキャピタリストは誰でしょう?」

 答えは、「桃太郎のおばあさん」です。おばあさんは、鬼ヶ島への旅立ちにあたり桃太郎に「きび団子」を与えました。そして、桃太郎は、その「きび団子」を食べてしまわずに、猿、雉、犬の仲間を得るために使いました。そして、桃太郎は鬼ヶ島の鬼を退治して、おばあさんのもとへ金銀財宝を持ち帰ったのです。一袋のきび団子が金銀財宝に。見事なリターンですね(笑)


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