いよいよ新年度がスタートしました。今年は、戦後以来と言われるような経済指標がいくつも発表されるなかでのスタートとなり、この変化の年にどういう行動ができるかが、将来の分かれ目になると考えています。
その意味で、戦後の混乱期を乗り切って会社を発展させた経営者に学ぶ点は多いと思いますが、その一人に、電通の中興の祖とも言われる吉田秀雄さんという方がいらっしゃいます。吉田さんは、終戦後の1947年に電通の社長に就任され、新聞広告の卸売り業だった電通から世界にはばたく今の電通への基礎を作った人です。
その吉田さんが唱えた「鬼十戒」というものがあり、特にその第十戒が特徴的です。
「摩擦を怖れるな。摩擦は進歩の母、積極の肥料。でないと、君は卑屈未練になる」
このような不景気の局面において、世の中が総じて保守的に、じっとしておこうというムードになるなか、何か行動しようとするだけで摩擦が生じやすくなります。ましてや、新しいことをしようとすると摩擦の度合いはさらに増します。しかし、このような時こそ、摩擦が起きても、自ら信じる行動をする人や会社こそ将来を作っていくのでしょう。
かくいう私も、新年度すでに小さな摩擦を経験しました(笑)。去る4月8日にASTERIAパートナーの住商情報システム様から、ASTERIA WARPのSAP ERP用アダプターを発表(pdf)していただいたのですが、その後、あるSAPビジネスをされている方から「こんな製品出されると価格破壊になってしまいますねえ」という話が。しかし、この摩擦は想定済みのもの。
私たちとしては、このアダプターがSAPの利便性を上げ、SAPの活用範囲を広げると確信していますし、なによりも、膨大なSAPのデータとの連携を早く、安く、確実に実現できることで、間違いなくお客様のお役に立てると考えています。
この時代、摩擦を怖れて行動しなければ、じり貧になるのは間違いないでしょう。摩擦の中身が何なのかを見極めることが大切です。摩擦があっても、お客様の価値を最優先に考えて行動することで、必ずや大きな違いを生み出すことができるのでしょう。違いが出てから後悔しても遅いと、吉田さんは戒めているに違いありません。
鬼十戒 (Wikipediaより)
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。