日別アーカイブ: 2015年5月28日

真のSOAが始まる兆し

先週は、東京でASTERIAパートナーミーティングを開催しました。2015年度のキックオフとなるこのミーティングには過去最大となる約200名のパートナーの方にご参加いただき、セミナーから懇親会まで大盛況で終えることができました。

■史上最多のパートナー様の登壇

今回は、ASTERIA WARP最新版のコンセプト「共存”“栄」を反映し、多くのパートナー企業の皆様にご登壇いただきました。

まず私のセッションで、欧米で急成長中のクラウドBIベンダーTableau Japanの浜田社長(ASTERIAのTableau専用アダプターを本日発表)、各種業務プロセス管理をクラウドで提供するクレオネットワークスの宮島社長、データ解析をクラウドで提供するアイズファクトリーの大場社長にご登壇いただき、各々のサービスとASTERIAの連携でさらに高まる価値についてお話しいただきました。

この4月に新しくASTERIA事業本部長に就任した熊谷晋のセッションでは、私のセッションで登壇いただいたクレオネットワークス様とアイズファクトリー様に加えて、アダプターを開発いただいた信興テクノミスト様、アイ・エス・アイソフトェア様の4社の方々にご登壇いただきデモを含めた具体的なサービスの説明を行っていただきました。

さらに、懇親会においては、先日APIを発表された近々専用アダプターが提供されるSansan様、専用アダプターでASTERIAと簡単連携ができる「kintone」のサイボウズ様にもご登壇いただきました。

■続々増えるクラウドサービスに必要とされる連携

このように、今回数多くのパートナーの皆さまにご登壇いただいたのには理由があります。それは、各社が提供されるクラウドサービスがAPIを持ち、そのAPIにASTERIAがつながることで、「真のSOA」とでも呼ぶべき企業システムの構築を支援していくことができると考えるからです。

企業向けのクラウドサービスといえばSalesforce.comしか代表的なものが無いという時代がしばらく続いていましたが、最近数多くの企業向けのウェブサービスが、APIも伴って提供されるようになってきました。

データ連携の世界では、10年ほど前に「SOA」(Service Oriented Archtechture) というキーワードが踊った時代がありました。企業内のにESB (Enterprise Service Bus) というデータバスを敷いて、それぞれのシステムをWeb Services (WS-*)という規格を使ってつなぐという企業システムの構造です。

当時、データ連携ソフトウェア各社がこぞってSOAを連呼する中、インフォテリアは一貫してこのSOA祭りから一定の距離を置いていました。その理由は2つ。1つはこのESBの考え方が「社内システム」を前提としており社外との連携がスコープに入らないこと、もう1つはこれまでのレガシーシステムの再構築を余儀なくされることです。

そこで、インフォテリアでは、2006年にESBを包含し発展させた形で社外やクラウドサービスともつながる「ESP」(Enterprise Service Pipeline)を提唱し、ASTERIA WARPの提供を開始したのです。私たちの考えは、ITにおいて社内と社外の区別はどんどん無くなって、極めて連続性の高いものになるということでした。

あれから約10年、WS-*を使って社内連携基盤を構築して成功している会社を私は知りません。理想は理解しますが、ESPで唱えた2つのポイントはやはり重要であったと考えています。

■企業システムはクラウドサービスを組み込んで誰もが使う時代に

では、SOAの理想はもう潰えたのかというと、クラウドサービスの充実とそのAPI提供によって逆にいよいよサービス主体でシステムを構築していく正にSOAと呼ぶべき時代が到来しつつあると考えています。それは、2006年のASTERIA WARP発表会で私が述べたように、社内だけの閉じたサービスではなく、APIで提供される社外のクラウドサービスをも組み込んだSOAです。技術的には、WS-*のような複雑な仕様ではなく、RESTとXML/JSONを使ったシンプルな構造です。

これから、APIベースのクラウドサービスはどんどん増えてきます。各社のもつ機能や事業がAPI化されていきます。これまでは、人を経由したり、書類で提供していた自社のもつ価値をAPIで提供できるようになり、それを組み込んでシステムが動き、アウトプットもAPI化されていく世界です。そしてそれを組み合わせて各社システムが作られるようになってきます。これこそまさに「SOA」と呼ぶにふさわしいものではないでしょうか。

そして、その時代にやはり重要なのが、それらAPIの「つなぎ」を実現するためのデータ連携。そして、それをシステム部門だけでなく現場が使えるようになること。APIはApplication Program Interfaceという名の通り、使うためにはプログラミングが必要ですが、現場で使えるためにはプログラミング無しで簡単にサクサク繋いで使えることが重要です。そこでASTERIA。

私たちはこのような時代に向けて、クラウドサービス各社との協業を強め、APIベースの連携アダプターを各社とともに開発し、新しいクラウドサービスベースのシステム開発の実現に貢献していきます。