「I ♥️ Cambodia」が運ぶ笑顔

先日、カンボジアのクチャ村という農村にある「かものはしプロジェクト」のコミュニティファクトリー(工房)にお邪魔しました。「かものはしプロジェクト」は、カンボジアやインドでの少女の性的人身売買問題撲滅のために活動をしているNPOで、インフォテリアも10年近く支援を継続しています。

この工房では、クチャ村の若い女性(16歳〜20代前半)約60人がい草の手芸品を作るために楽しそうに働いていました。い草を染める人、い草を選別する人、靴のゴムを貼り付ける人、ミシンをかける人、皮を裁断する人などなど。

 

この工房は、村の女性達の自立支援のために運営されています。寄付などの支援無しに、サスティナブルなコミュニティを作るために、一人一人が手に職をつけ定常的な収入が得られるようにとの狙いです。少女の性的人身売買問題が起こる原因の一つとして「貧困」があり、定常的な収入が得られれば、多くの未成年を救うことができるからです。

工房には、託児所が併設されており、子供がいても働くことができます。食堂では、毎日無料の給食が出されて、働くために外食をする必要もありません。このように、仕事を与えて教育するだけでなく、村の女性達が、働きやすい環境も提供されています。

 

ここで作られる手芸品は、「I Cambodia」というブランドで、都市部で売られています。さらに最近は、バッグやアクセサリーの「SUSU」という新しいブランドも立ち上げ、かものはしプロジェクトからの卒業を狙っているそうです。

この工房のことは「かものはしプロジェクト」の報告書で知ってはいました。しかし、実際に現地を訪ね、このような異国の地で、人生を賭けて現地の社会問題に取り組み、そして大きな成果をあげている「かものはしプロジェクト」の皆さんの活動にあらためて胸を打たれました。

「I Cambodia」の手芸品をお土産として買い込み、「仕事があることが嬉しい」というと笑う彼女達に見送られながら工房を後にしました。

 

かものはしプロジェクトのサイト↓

英国のブロックチェーンハッカソンで優勝!

インフォテリアグループのThis Placeの開発チームが英国ロンドンで先週末に開催された、ブロックチェーンのハッカソン「Break the Block」で優勝しました!

このハッカソンは、保険業におけるブロックチェーンの適用の可能性を探るもので、主催は米国の保険大手Travelersの傘下のSimply Business社。参加したチームは、This Placeの他にAccenture, KPMG, Microsoft, HSBCそしてCryptoCompareからなど、全10チーム。This Placeのチームは「Coders Without Insurance」というチーム名で参加し、並み居る強豪の中で、最優秀賞を獲得しました。

チームリーダーのChristoph Burgdorfer(写真:左から2人目)は、This Placeの開発ディレクターで、現在インフォテリアの東京R&Dセンターとも共同で新たなプロジェクトを開始しています。彼が率いるチームが今回作ったのは、イベントに関わる保険の支払を実際の天気に応じて自動化するというもので、保険料率の計算のために天気予報APIを使い、実際の天気の取得のためにIoTセンサーを使い、また保険の支払にはEthereumのスマートコントラクトを使うというものです。

Christoph Burgdorferのコメント:
“I was really impressed by the level of innovation and creativity at this year’s Break the Block hackathon. I believe that our team did an outstanding job in putting together a solution that could set the bar for the next generation of insurance.”
(訳:今年のBreak the Blockハッカソンにおける革新性と創造性のレベルの高さに感銘を受けました。私たちのチームは、次世代の保険業の基準となり得る、素晴らしいソリューションを提案することができたと確信しています。)

今回、This Place開発チームが取り組んだブロックチェーンの活用例は、これまでの保険業におけるブロックチェーンの適用例をさらに広げるものとなります。つまり、これまでの実証実験では、保険証券のブロックチェーン化(貿易保険:東京海上日動火災保険株式会社、株式会社NTTデータ、銀行保険:IBM、AIG、等)が行われていましたが、そこからさらに広げて、オープンAPIやIoTと組み合わせた保険業務におけるブロックチェーン適用例となっています。

またこれは、インフォテリアが推進している金融勘定系以外におけるブロックチェーンの具体的な可能性をまた一つ示したことになります。これからもインフォテリアグループでは、幅広い産業におけるブロックチェーンの適用のための活動を続けていきます。

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「Gravio」、登場!

ブログでのご報告が遅くなりましたが、去る6月21日、ようやくGravioの出荷を開始しました!2013年の製品戦略説明で「Gravity」という開発コード名に触れてから4年、いよいよです。

時間をかけた分、ビジネスや社会のインフラとして必要度の高い領域にユニークなポジショニングでの提供を開始できたと考えています。Gravioは、まだ多くの人がその姿をイメージできないであろう、エッジコンピューティングという新しく大きな市場に向けたミドルウェアです。全てのIoTデバイスをクラウドだけで接続できるわけはなく、IoTデバイスとクラウドの間のエッジミドルウェアは必須となります。また、そのエッジミドルウェアは、単にセンサーデータの橋渡しだけでなく、今後はIoTデバイスの制御とシステムとの連携で大きな役割を果たすのです。

さて、提供を開始したからこそできる裏話をしましょうか。

なぜ、提供開始にここまで時間がかかったのか?

最初に「Gravity」を説明したときには、Handbookが情報のOutputが主なことに対して、当初Gravityは情報のInputを行うソフトウェアとして設計開発しました。つまり、Handbookと対になるようなソフトウェアとして説明しました。しかし、製品の開発を進めるうちに、InputとしてIoTを含め他幅広いデバイスへ対応することで、これまでに無い新たな価値を創りだせることに気がついたのです。そこで、その実現のためにそれまでに書いていた「Gravity」のプログラムコードのほとんどを捨てて書き直しました。さすがに、プログラムコードを捨てたことは、その時点では外部には言えませんが、プログラムコードを捨てることは、インフォテリアではよくあることなのです。本当に良い製品を作るために。

このようなことから、「Gravity」として紹介した後に、プログラムコードを捨ててゼロから書き直すことにしました。これも全て、デバイスの時代のつなぐ主役になること、それを世界中でより多くの人により長く使っていただきたいとの思いからです。結果的に当初想定していたより約2年遅れての登場です。そして、そのファーストバージョンがようやく誕生したのです。

これまでも、「ASTERIA」は15年間(そのうち最近の10年は市場シェアNo.1)、「Handbook」9年間(そのうち最近の5年は市場シェアNo.1)と長い間ユーザーが増え続けています。このように長い間使っていただくソフトウェアにするには、単に目の前のマーケットニーズに応えるのではなく、長期的な技術トレンドの見極めと、そこに対する積極的な投資が必要です。また、一方で違う方向性を確信したときには、過去の投資に未練を持つのではなく、勇気をもって新たな確信に進むことも大事です。

実は、ASTERIAもHandbookも何回もプログラムコーディングを捨てて書き直しています。長続きするソフトウェアには理由があります。それはユーザーニーズの側面からはわからない、プロフェッショナルとしてのアートなのです。

【P.S.】
Gravioはすぐにダウンロードして使うことができますが、Gravioについて、デモも含めて詳しい説明を聴くことができるセミナーを開催します。しかもGravioだけでなく、その周辺についてもその道のエキスパートの方々からの解説まで!お申し込みはこちら↓
https://event.infoteria.com/jp/event/e170809/

鐘を鳴らしてから10年経ちました

2007年6月25日、インフォテリアの東証マザーズ上場を記念したセレモニーで東証の鐘を鳴らした日からちょうど10年が経ちました。

上場から10年、色々なことがありながらも、事業を継続し、ここまで成長してくることができたのも、社員メンバー、ご家族、パートナーの皆様、そしてお客様のおかげです。関与していただいた全ての方に深く感謝いたします。ありがとうございます。

そして、先週土曜日にはインフォテリアの上場企業として10回目の株主総会を無事終えることができました。今回は、史上最高の169名の株主の方にご参加いただき、ライブ中継したインターネットでの視聴は330名を数えました。並行して実施したブロックチェーンによる株主投票の実証実験には289名の方に参加をいただき実験は成功しました。これは、日本経済新聞(電子版)でも取り上げていただきました

そして例年通り、株主総会に引き続き事業戦略説明会を実施しました。約35分間のプレゼンテーションでは、インフォテリアの考え方とこれからの方向性を語らせてもらいました。株主総会は、基本的に過去の報告ですが、事業戦略説明会は未来の話ですので、できるだけ多くの株主の方にこちらの話も是非聴いていただきたいと考えて実施しています。参加出来なかった方は、ぜひ録画をご覧ください。

   

今年は、新たにIoT関連の2製品「Platio」「Gravio」の出荷も開始し、また「デザインファースト」のソフトウェア開発に向けて英国のデジタルデザイン企業のM&Aを行いました。今年度の業績としても、売上高が60%増、営業利益が36%増と大きな成長を目指しています。

次の10年に向けて、今年がギア・チェンジの年となるよう、チャレンジを継続し、大きな成長を目指します。

インフォテリアの株主総会にご参加を

私の大好きな花の一つ、紫陽花が街を彩る季節。
それは株主総会の季節でもあります。

日本の株式会社で一番多い決算月が3月。そのため、日本で一番株主総会が多い月が6月となっています。インフォテリアも3月決算のため、株主総会は6月。今年は6月24日、例年通り土曜日の開催です。

インフォテリアの2017年3月末現在の株主数は、11,252名。このうち何名が株主総会会場にお越しいただけるかは当日までわかりませんが、私としては、できるだけ多くの株主の方々にご参加いただきたいと考えています

そこで、以前から個人の方々が参加しやすい土曜日に開催しています(11,252名の株主のうち9割以上が個人株主)。また、昨年までは、午前中に開催していますが、今年は午後1時30分からの開催としました。これは、株主の方々からの意見の中に、午前開催だと遠方から参加される方が参加しにくいとのご意見をいただいたことを考慮に入れたものです。

株主総会は、インターネットでも生中継します。会場に来ることが出来ない方でも、株主総会の様子をライブで観ることができますので、ぜひご参加ください。また、株主で無い方も視聴することが可能です。これまでは、Ustreamを使った中継を行っていましたが、今年は新しい試みとしてYouTube Liveでの配信を行う予定です。

さらに今年は、模擬的にブロックチェーンを使った株主投票(議決権行使)の実証実験を行っています。これは、ブロックチェーンの特長を活かして、発行企業ですら不正ができず透明性の高い株主総会決議を目指したものです。また、今後、信託銀行がAPIなどで情報を提供するようになれば、そのデータをASTERIAで直結することで、株式事務の大幅なコスト削減と高速化が実現できます。さらに、ブロックチェーンのデータを統計的に分析することも容易になります。この実証実験の結果は、株主総会に続く「事業戦略説明会」の中で公開をする予定です。

このように、インフォテリアでは定型的になりがちな株主総会でも、経営理念の1つである「発想と挑戦」を続けています。今年も、インフォテリアの株主総会にご注目ください。

We are the Champions!

“We are the Champions〜!!”

会場に、ボーカルの声が響きます。といっても、イギリスのロックバンド「クイーン」のライブ会場ではなく、ASTERIAパートナーミーティングの懇親会の会場です。

インフォテリアでは主力製品ASTERIAのパートナーの皆様にお集まりいただき、年に一度のキックオフを行っています。そして、今年は初の試みとしてASTERIA事業本部を中心メンバーとしたバンド演奏を行ったのです。フレディ・マーキュリー風のボーカルは、事業本部長の熊谷晋。スーツから着替えて、いきなりこの出で立ちにパートナーの皆様は驚きながらも拍手喝采!ドラムは第1営業部長の荒井琢。会場全体が力強いビートに包まれました。


バンドには私もギターで参加しました。これまでずっと使っていたギターではなく、先日買収したイギリスの企業This Place社の経営陣からプレゼントでもらった、グリーンのストラトキャスターの初お披露目です。

今回初となる、ASTERIAパートナーミーティングでの社員バンド演奏は、私が中期経営計画で挙げているスローガン「おもしろ おかしく」 の一貫として、ASTERIA事業本部が企画してくれたものです。厳しい仕事の中にも、ちょっとした楽しみを見つけ、そして参加してくださった皆様にも共有していただきたくて。

もちろんASTERIAパートナーミーティングは、懇親会だけではありません。本編は、午後いっぱいを使っての1年間のビジネスレビューと、新年度の活動計画を共有する場です。私からは、10年連続市場シェアNo.1達成と、2002年からの累計導入社数が6,000社を突破したことを報告しました。ASTERIAは、いまや押しも押されぬチャンピオンであることを。

しかし、ASTERIAはここで止まりません。さらに進化を続けます。パートナーミーティングでは、近いうちに、AI(コグニティブ)連携や、IoT連携も実装していくことも発表しました。チャンピオンの座をさらに強固なものにしていくASTERIAに、これからもご期待ください。

雨上がりの夜空に、熊本を想う

先週末、5月13日(土)、14日(日)、東京の日比谷公園で、熊本復興支援のための熊本県産品や寄付商品のチャリティー販売を行いました。結果として、この2日間だけで100万円を超える売上を上げることができ、全額が熊本の生産者(被災農家、被災メーカー)の仕入れと、熊本復興のための募金に提供できることとなりました。

熊本地震から1年を超え、今では「1周年」などの節目でしか熊本地震のことは話題に昇りません。私も、まさに1周年となる4月15〜16日に、熊本をこの目で確かめたくて熊本入りしました。1年を経て、復旧した道も建物も、営業を再開している店も多くあり、街の人々も元気でしたが、熊本城、阿蘇大橋、阿蘇神社などは、まだまだ地震の爪痕を大きく残し(写真)、復旧には何年もの時間がかかります。また地元中小企業の二重債務の話を聞くとまだまだ復興にはまだ長い長い道のりがあるのだと実感させられました。


地元の知人、友人に1年の節目なので来熊したと伝えると、「外の人はそぎゃんして節目ん時だけ気にするばってん、こっちはまだ毎日が闘いだけんね。」(外部の人は、そうやって節目の時にだけ気にしてくれるけど、私たちは毎日が闘いなんです)と複数の人から言われました。この言葉は私も当事者の一人と思っていたわたしにもグサリと刺さりました。この言葉を聞いて、「節目だから何かする」のではなく、いつでも出来るときに出来る限りを意識して行きたいとの思いを強くしました。

その思いをつないで実施した日比谷公園での2日間の活動のうち、実は1日目は開始から終了までずっと雨が降っていました。客足も伸びず、売上も全然増えません。結果、1日の目標に遠く及ばない売上となりました。雨の中、ポンチョを着てもずぶ濡れとなって皆で頑張ってもこの結果でした。夜になって雨が上がり、なぜ今日の昼間だけ雨なのかと、恨めしく夜空を見上げました。

この空の先にいる熊本の人たちを想い、残り1日の限られた時間でも最高の結果を出そうと誓い、明日こそは雨が降らないようにと祈りました。祈りが通じたのかどうか、翌日は雨の降ることはなく、大きく挽回して冒頭の結果を打ち出すことができました。

熊本の復興のためには、まだまだ継続的な支援が必要です。今回の復興支援活動を主催した「熊本弁ネイティブの会」では、「でくっこつば、でくっしこ」(一人一人が、出来ることを、出来るだけ、無理せずに)を合い言葉にこれからもずっと復興支援を続けていきます。

今日、このブログを読んでいただいた貴方も、少しでも良いので熊本の復興を応援していただければ幸いです。最後に、私が支援している復興プロジェクトを紹介しておきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

インフォテリアグループの新オフィス in シアトル

今日は、インフォテリアグループの新オフィスがあるシアトルに来ています。本日4月20日付けで、英国ロンドンに本社、米国シアトルに子会社があるThis Place社が正式にインフォテリアグループとなったからです。

シアトルは、私たちIT業界でいうと、MicrosoftやAmazonの本社のある場所として有名です。他の業界としては、StarbucksやBoeingの本社としても知られていますし、スポーツでは、イチローのいたSeattle Marinersが(日本では)有名ですね。

This Placeのシアトルオフィスはデザイン会社らしく、とても自由な雰囲気です(写真)。このオフィスは、私たちのスタッフだけでなく、クライアントの皆さんも一緒に働くというコラボレーションオフィスになっています。デザインとは、いまやイラスト、アイコンなどの「絵」だけを意味しません。デザイン思考という言葉にも象徴されるように、ビジネスのあらゆるところに、デザインの要素を取り込むことができるのです。

お客様とどのように一緒に仕事をするかもデザインの一つ。This Placeでは、お客様を自社オフィスに招いて、同じフロアで机を並べて仕事をしています。ミーティングをどのように行うかもデザインの一つ。This Placeでは、ミーティングルームもありますが、ソファースペースや、ホワイトボード壁の前などでいつでもミーティングができるようになっています。実際にミーティングルームより、そのような場所でのミーティング方が多いようです。

 

これから従来型の仕事がどんどんロボットやAIに任せられるようになり、人間はよりクリエイティブな仕事ができるようになります。その際に重要なことが、刺激のある、楽しい仕事であること。高い目標やハードルがあっても、それを強いモティべーションにできるチームがあること。これは、インフォテリアの中期計画のスローガンである「おもしろ おかしく」にも通じることですし、私が以前から推奨している「笑ってお仕事」にも通じることで、インフォテリアグループ全体に取り入れて行きたいことです。

インフォテリアは、今日から、日本、米国、中国、シンガポール、英国に拠点を持つ、ソフトウェア×デザインのグローバルカンパニーとなります。ビジネスのあらゆる面でデザインが重要になっていくこれからの時代。世の中に提供する成果物だけでなく、私たち自身もソフトウェア×デザインを実践し成果を出すチームとして成長していくのです。

サクラサク – 駐日英国大使館にて


4月4日に英国のデザイン戦略コンサルティング企業This Place Limitedの買収について発表を英国大使館で行いました。英国大使館は、敷地内に多数の桜があり、ちょうど見頃。大使館の経済・投資担当ディレクターのChris Heffer氏からは、ソフトバンク、KDDIに続く、期待の日英のコラボレーションとして紹介され、私とThis PlaceのCEO Dusan Hamlinがプレゼンテーションを行いました。

This Placeは、2011年の創業からSamsonite, T-Mobile, Ahold Delhaizeなど大企業のデジタルデザインとその戦略を担って急成長をしており、現在はロンドンとシアトルに拠点を置いています。また、この内容が認められ、業績としても素晴らしい成果を挙げています(図)。

しかしなぜ、インフォテリアがデザイン企業を買収したのか?
インフォテリアの事業とどう関係があるのか?

その理由は、私たちはこれからのソフトウェアが「機能ファースト」ではなく「デザインファースト」の時代になると確信しているからです。この傾向はすでにコンシュマー向け製品では、如実に表れてきていますが、これから企業向けのソフトウェアでも、「デザインファースト」の止められない流れが始まり、その流れをリードしていきたいと考えているのです。

コンシュマー製品での好例は、iPhone。発売当初のものは「コピペ」といった基本機能すらなかったのに、その(総合的な)デザインによって世界中で受け入れられました。これまで、企業向けソフトウェアは、機能のマル(○)バツ(×)表が重視されていましたが、そうではなく、UI/UX、機能のバランス、使い勝手など総合的なデザインが重要になります。

インフォテリアでは、中期経営計画において、これからのソフトウェアのトレンドとして「3つのD」を重要視していると発表していました。これまでは「Design」をあえて秘していましたが、晴れてこれを加えることができ、「4つのD」となります。

デザインが重要になってくるのは、ソフトウェアにとどまりません。例えば、米国では下記のように、いくつもの未来志向の会社がデザイン会社を買収しています(時系列順)。大きなデザイン会社が小さなデザイン会社を買うというのではなく、畑違いの企業がデザイン会社を買収しているのです。その理由は、「デザイン」がビジネス戦略の核となる時代となってくるからです。

・米Facebookが「Hot Studio」を買収
・米Capital Oneが「Adaptive Path」を買収
・米McKinsey & Companyが「LUNAR」を買収
・米Accentureが「Fjord」を買収

インフォテリアは以前から、社内にデザインチームを持って、ソフトウェアのデザイン(UI/UXだけでなく)に注力してきましたが、やはりそこには限界がありました。そこで、社外でプロフェッショナルを探し、実際に一緒に仕事をしてみて、その結果として、未来を一緒に創っていくプロフェッショナルな仲間を見つけたのです。

実際に仕事をした結果の一つが「Tristan」(英語圏製品名「Handbooks」)です。Tristanは、現在提供中の「Handbook」をベースにThisPlaceがUI/UXおよび機能デザインを監修した製品で、すでに英語圏市場ではAppStoreで提供を開始しています。「Handbook」は、日本のユーザーの皆様の要望に応じてどんどんと機能を強化し成長してきましたが、「Tristan」は、機能もUIもあえてそぎ落とし、洗練しているのが特徴です。「Handbook」よりも機能が少なく、機能的な非互換があるため日本市場ではまだ提供していませんが、日本でもそう遠くない将来に提供開始できるでしょう。

This Placeは、デジタルデザインとその戦略のプロフェッショナル集団というだけでなく、事業としても高収益で素晴らしい成績を収めている企業であり、インフォテリアが目指す世界戦略の一歩大きくすすめる買収でもあるのです。

ダイバーシティを推進する「4つのA」とは?

香港で開催されている「Pride and Prejudice」というフォーラム(英Economist主催)に参加しています。これは、世界3ヶ所(ロンドン、ニューヨーク、香港)で同時開催されるダイバーシティをテーマとした会議です。英国のEconomist主催ということもあって、昨夜のテロの影響を心配しましたが、カンファレンスは予定通りに始まりました。

私は、「View from the Top」という午前のセッションにパネリストとして登壇しました。これは、企業トップとしてダイバーシティ特にLGBTにどう取り組むのかということを議論するセッションです。パネリストは、オーストラリア、タイ、フィリピン、日本から1名ずつ。各国でLGBTに積極的に取り組んでいる企業のトップです。

ダイバーシティへの取り組みは、先進国の中では日本は遅れているほうだと感じていますが、日本の現状を共有し、企業トップに取り組んで欲しいプロセスを「4つのA」に整理して提案しました。その「4つのA」とは以下の通りです。

Aware = LBGTの人達の存在や、その課題を認識すること。
Accept = LGBTの人達を受け入れる意識を組織やメンバーが持つこと。
Action = LGBTの人達が働き易くするためにルールを変えたり勉強会を実施すること。
Appeal = 自社の取り組みを社会に告知し、取り組みを連鎖させていくこと。

また、パネルの中では唯一のIT会社だったので、ITがLGBTの人達が働き易くなる社会作りに貢献できることについても話しました。

SNS (Social Network Service):LGBTの人達が組織や地域を越えて繋がり、連絡を取り合ったり、コミュニティを作ったり、コラボレーションすることができる。

これは、既に実現していますが、少し先の私の夢も語りました。

AI(人工知能):採用プロセスにAIを活用することで、人間の持つ偏見や差別をできるだけ排除することができるようにならないか?

Blockchain:ブロックチェーンをの改竄不能性や、真正性確認の特長を使って、LGBTの人達を傷つけたり貶めたりする怪文書、偽文書を撲滅できないか?

これらは、現時点ではアイディアでしかありませんが、そのほかにもITが貢献できることはあるはずです。

日本においては、LGBTどころか男女や外国籍の人達のダイバーシティ対応すら不十分な会社も多く、こういう新しい取り組みは壁にぶつかったり、疲弊することも多いのが現状です。しかし、小さくても、少しずつでも進めていけば、いつの日か、違う種類の人達が身近にいることを誰もが当たり前に受け入れられるようになっていくと考えています。